DAY bye DAY

いろいろね、あったぶんだけね 宝物(おもいで)もふえて

キングオブコント2022準決勝を配信で観た雑感

いよいよ今日10/8(土)の夜、キングオブコント(以下KOC)2022の決勝大会がTBS系列にて放送されます。
今更KOCについて説明することはないかもしれませんが、KOCに対する僕のスタンスは少し説明しておきます。
お笑いブーム全盛期に思春期を迎えた僕は2009年大会決勝の東京03サンドウィッチマンの一騎打ちを見て「オンエアバトルエンタの神様に出てた人たちが、最高峰の舞台で戦っている…とんでもないものを見てしまった…」となり、今に至るまで殆どの大会をリアルタイムで観ています。
とはいえそれをきっかけに熱心にライブに足を運ぶようになったりするほどの熱量は無く、あくまで趣味の一つとしてお笑いを観ています。(最近になってようやく地元で開催されるお笑いライブや、オンラインライブにお金を出すようになりましたが)
みんなのTLにも一人はいる、賞レースの時期になるたびに元気になるイナゴのような存在だと思ってくれればいいです。

そんな僕ですが、今年からKOCも他の賞レースと同じく準決勝をオンライン配信するということで、二日分チケットを買って鑑賞しました。今までプラチナチケットの争奪戦に勝ったものだけが見られたライブが、お金を払えば誰でも見れるようになった。最高の時代です。
しかし購入したのが一カ月前、尚且つ配信終了の8時間前で、眠い目を擦り急いで観ながら感想を殴り書きしたものをコピペし、軽く加筆修正しただけのものなので情報としての価値は殆どゼロに等しいと思います。
でも書きたいから書く。そのためにこのブログを作ったので。
一応注意ですが、KOCはM-1などと違い、セットを用意しないといけない関係上準決勝でやった2ネタをそのまま決勝で披露しなければいけません。
なのでネタバレにならないようネタのタイトルや詳細についてはなるべく伏せますが、閲覧は自己責任でお願いします。
また、配信に音源が乗らない関係上カットされた組やネタの大半が無音状態の組もいたので正確な評価はできません。そもそもお笑い評論家でもなんでもない素人なので当然なのですが。
文中に出てくるコンビ名は敬称略です。





 

 

 

・1日目

蛙亭
知ってるネタだったけど、5分尺に合わせて進化してて凄い。死を匂わせるワードが気になるけど、ちゃんと最後はハートフルになってて凄い。

フランスピアノ
めちゃくちゃシステマチックで完成度高いけど、ヨーロッパ企画みたいなネタだな…と思ってしまった…

かが屋
二人の演技最高。コンプラに一石を投じる鋭さもありつつ、ちゃんと人間に対する優しさも見える。

スパイシーガーリック
めっっちゃバカなネタで最高。どういう発想?

青色1号
リアルに考えた時に、置かれている状況が辛すぎて大丈夫か…?となったが転調後は面白かった。オチも叫んで欲しかった。

ファイヤーサンダー
観客に第三者を想像させるネタだけど、展開が分かってても面白い。お笑いあるあるのその先って感じ。オチは反則感あるけどどう受け取られるかな。

サスペンダーズ
タコパってワードがハマらなくて大丈夫か?となったけどその後の補足でちゃんとウケてて安心した。
冤罪っていう天秤にかけるには重すぎる題材なのと、女性には共感しづらいのがどうかな?

ビスケットブラザーズ
せっかくだし、君が完成させてみる?がキラーワード。プロ野球チップス、死んだふりの小ボケもちゃんとハマってる。ツッコミワード全ハマり。ネタバラシからの減速が少し気になる。

カゲヤマ
設定がバチバチに面白い。益田(すたみな)さんのヘタウマ演技もこのネタに関しては味になってる。小道具が小道具で終わってなくて、メタな視点も用意されてる。

ゾフィー
曲の間笑いが止まっちゃうのが気になるけど天丼で徐々に熱上がってきた。ただネタが頭に入ってる人は笑えるけど初見で笑えるかな。

最高の人間
岡野さんの語りから入るのがR-1の時を彷彿させる。狂気×狂気。これゴールデンでできるのか?ネタバラシ、恐怖と笑いは紙一重。キラーワード連発。

ヨネダ2000
愛さんの体型と髪型と吹き替えの感じ全部おもろい。
誠さんツッコミなのもおもろい。
「何番目に?」
毎回音楽とリズムの要素が違和感なく入ってるの凄い。お笑いの回路が違う感じする。版権曲入れて配信に乗らないようにしてるのが、ネタバレ防ぐ戦略だとしたらとんでもない。

やさしいズ
変な喋り方の教師がツッコミでありボケなのが面白い。ご本人登場。幸せなネタ。

GAG
キャラに頼らないコント珍しい!と思ったら強烈キャラ出てきた。
福井さんの悲哀ツッコミ冴える。義務教育肌に合わんかったやろ!

や団
怖いネタ多い!!!ブルーシートのくだりだけ引いちゃう人がいそう。

ザ・マミィ
去年のネタがよぎった人多かったかな?オチ含めコンプラで落とされちゃいそう。

いぬ
今時こんな回想の入り方ある?笑
逆パターンはもう意味が分からんのよ笑
この後M-1一回戦の動画も観たけど、どっちも太田さんの筋肉活かしたネタで最高。

隣人
チンパンジーと飼育員の立場が逆転するの面白い。ちゃんとチンパンジーに見えてきたところで、力業的な笑いの取り方してくるのがズルい。

ラブレターズ
ラブホの店員が同級生ってところからここまで発展させられるの凄い。また決勝で見たいなあ。

相席スタート
山添さんのキャラが周知されてウケやすい環境が整ってる。どこから逆算してこの衣装作ったんだろう…

ニッポンの社長
くだらないね〜〜〜!!!(激賞) ケツさんの顔をここまで活かしたネタもない。

イノシカチョウ
バカなネタが続くな〜〜〜事故現場に武器が並べられていくの面白い。モーニングスター伝わるのかな?

うるとらブギーズ
観客に突っ込ませるメタな視点もあって綺麗なネタだと思うけど…思うけど…

TCクラクション
題材が将棋である必要があったのかな?例えば超能力者とか。所謂スカッとジャパン的な展開になるかと思いきやハートフルに。

金の国
ネタ中完全に暗闇になるの凄い。

コットン
西村さんのクズキャラもきょんさんのおばちゃんキャラもハマってる!
設定もありそうでなかった感じだしこれはいってもおかしくない!

ななまがり
初瀬さんの声質と声量は天性のものだと思う。
「ないなら良いですよ!」の一点張りでここまで面白くなるの凄い。
だんだん「醤油で食うんで、僕」も面白くなってくる。

ロングコートダディ
いつかのM-1準決勝を彷彿とさせる粘着質なネタだけど、ロングコートダディに求めてるものではなかったのかな〜〜〜
怖いネタじゃないと思ってたら怖いネタだった系が多い気がする。

ジャングルポケット
相変わらず3人目の使い方が上手いな〜〜〜
風刺が効きすぎてだんだん笑えなくなってくるのが、観客的にはノリずらかったか?

そいつどいつ
怖いネタが続いたライブの終盤に見るにしてはファンタジーに寄りすぎたか?

ネルソンズ
和田まんじゅうさんのとぼけたようなツッコミが良い。
ラストの展開の布石なのは分かるんだけど、好きな理由のところはもっと考えられた気も…



・2日目

金の国
設定最高。
「みんな18歳だったんだから」
豚鼻のタイミング完璧。
最後何流れたんだろ〜〜〜R-1といい、版権曲の使い方が絶妙。

カゲヤマ
チョコレートプラネットのデスゲームのネタをどうしても彷彿としてしまうが…?
ボケツッコミ逆にして幅の広さを見せてきたのは正解。
得意な小道具を使わなかったのは裏目感……

ななまがり
これが勝負ネタなの面白すぎる。
架空の〇〇好きだなあ。初瀬さんのデカ声。
「チャムじゃなくなってます」
架空の風習が仕上がっていくの面白い。

クロコップ
発想勝ち。ツッコミと連動してキャラが動くの面白い。背景も相まって本当にモニターに映ってるみたいに見える。
ZIPが他局だが果たして…?

ザ・マミィ
抉り方が鋭すぎて笑えない人も多そう…風刺が利きすぎて最早現実を映しただけになっちゃってる…。
ポエトリーリーディングの部分は説明なしで伝わるのかな?ラップって単語だけ聞いてあれ?ってなる人が多そう。

いぬ
また太田さんの筋肉を活かしたネタ!
バカだな〜〜〜〜〜
変に引きずらないのも良いね〜〜〜

ニッポンの社長
冒頭ほぼサイレントなの勇気あるな。
第一声とケツさんの顔が最高。
これもゴールデン大丈夫かな〜〜〜やっぱり二人には松本人志の血が濃く流れているんだなと。本人がどう評価するのか期待。

相席スタート
山添さんが自分のクズキャラを隠さないようになってきた!
逆にケイさんは結婚以降、ブスキャラから脱却した感。
ぬるっと終わっちゃった…

ラブレターズ
溜口さんマジで顔変わらなくて少年役が違和感ない…!
自転車のマイム上手すぎてびっくりする。
ラスト吐いて終わるコント初めて観たかもしれない…

うるとらブギーズ
2本とも服着替えるめんどくさいネタしてるの最高。
思ったより広がらなかった印象。

ジャングルポケット
斎藤さんの声通りすぎてビビる。
ホワイトボードに書くネタ好きだよね。一辺倒だけど面白い。

TCクラクション
ツッコミの方の声質が良いのでもっと勢い任せなネタも見てみたい。

コットン
そうかこのネタが残ってたか!!!
赤ラークのカートンラジオにするのおもろすぎる。
「ニコチンでんじろう」
これは優勝あるのでは……!!

イノシカチョウ
バカなネタばっかりでめちゃくちゃ好きになった。ツッコミ独特なのも良い。
そもそもが下品なネタなんだけど、固くて〜が一瞬エグめの下ネタに聞こえてヒヤッとする。

サスペンダーズ
二転三転あって読めなかった。
「ホスト狂いの女が花占いすんな」
オチ最高。

GAG
福井さんのパッションツッコミが冴え渡ってる。全ワード刺さりまくってる。

かが屋
両方女性役できる幅の広さを見せてきたのは大正解…!
設定面白い。同姓同名を占えるのか。鏡写しの自分と運命の出会い。

フランスピアノ
ABCでもやってたネタだけどやはり完成度高い。相関図が徐々にわかりづらくなってくるかな?と思ったらちゃんとまとめるターンを作ってるの偉い。

ゾフィー
評価が難しいネタ…!

スーパーニュウニュウ 
しょうもなすぎる笑
モーターの音よ。突然非合法のハッパとか出してくるあたり侮れない。
最後なんでそうなった笑

そいつどいつ
今年のそいつどいつのテーマはファンタジー
市川さん、ムーンウォークできたのか…

蛙亭
中野くんは最早サイレントでも面白い。というか、あの面白過ぎる声質を殺してサイレントに踏み切った勇気に乾杯。
生電話でようやく喋るかと思ったら…な裏切りも最高。

や団
個人的にはまだあんまりハマれてないけど、バイきんぐが優勝した時みたいな感じで爆ハマりして優勝するパターンは全然ありそう。

ファイヤーサンダー
図らずもタイムリーすぎるネタ…!
テニスサークル連呼が思ったよりハマらなくて大丈夫か…?と不安になったが3回目で安心。
ブラックオチかと思いきやな外しも安心できる。コンプラ的な面で落とされるのが怖いが、決勝は固いか。

 

ネルソンズ
和田さんのコメディアンっぷりが凄い。
オチだけそんな感じなんだ…ってなっちゃった。

隣人
大喜利全ハマり。決勝で映えそう。

サルゴリラ
音源カットされてた部分多かった…1日目含めどんなネタだったのか気になる…

最高の人間
出オチかと思いきや、終盤の展開で文字通り手に汗握らされた……!!!
これもし上がったとして本番どうするつもりなの!?!?!?

 

ビスケットブラザーズ
ツッコミワード全ハマり。キャラに全振りしてると見せかけてワードチョイスが巧み。

やさしいズ

意外と予想を超えてこない設定だったかも。さらば青春の光の工場のネタを思い出してしまった。

 

ロングコートダディ
噛み合わない会話を描かせたら逸品。これも兎さんの顔を活かしたネタ。
上がったとして、1本目どっちのネタやるんだろう…。

 

・決勝進出予想→結果を見ての感想

SWD on Twitter: "ここまで来たら最早運の域だと思うけど、個人的に決勝上がって欲しいのは ・最高の人間 ・ニッポンの社長 ・隣人 ・ビスケットブラザーズ ・コットン ・ファイヤーサンダー ・ヨネダ2000 ・ななまがり ・カゲヤマ ・金の国 の10組です。寝ます。" / Twitter

キングオブコント【公式】 on Twitter: "✨ファイナリスト10組発表✨ 参加総数3018組の頂点に立ち、キングの称号と優勝賞金1000万を手にするのはどの組か? 手に汗握る決勝の模様はこの秋TBSで生放送!乞うご期待📺 #キングオブコント https://t.co/u2bYLUojUx" / Twitter

 

個人的な予想と実際の決勝進出者はご覧の通りです。

固いと思っていたのはニッポンの社長、最高の人間、コットン、ビスケットブラザーズくらいで他は当落線上だろうなと思っていました。

好みは分かれるだろうけど、有無を言わさずウケてたからこれはいっただろ!と思ったヨネダ2000やななまがりが落ちたり、逆に自分はめちゃくちゃ好きだけどコンプラ的に落とされちゃうのかな…と思ったや団やいぬが上がってて、やはり審査員の好みや出番順などの運も大きく絡んでいる気がしました。

あとはファイヤーサンダーや隣人は二つとも見たことない設定で展開も素晴らしかったので、落ちたのが不思議なくらいでした。

 

10組の並びを見ると、やはり去年の若手有望株+実力派人気コント師達で固められていた(だからこそ史上最高の大会と言われている)人選とは違い、ダークホースというか、いぶし銀というか、苦渋を舐めてきた人たちというか、とにかく世間にまだ真の実力がバレていない人達が多い気がします。

去年準優勝の男性ブランコが準々で落とされたらザ・マミィが準決勝で落とされたりしたのからも分かるように、そういったまだ見つかっていない才能をフックアップするという本来の目的を思い出させてくれる、一昔前の賞レース感がある人選だと思いました。

また去年からネタ時間が4分→5分に伸びたこともあり、一つの発想やキャラクターで走り切る勢いのあるコントよりも、たっぷりと世界観に浸らせるようなコントの方が勝ちやすくなっているのかなというのも感じました。

 

勿論全体のバランスを考えて(かは分かりませんが)、既に定評のある実力者や、ポップで何も考えずに笑えるネタをするコンビも選ばれてはいるものの、全体的には、かもめんたるやバイきんぐが優勝した時のような、怖くて不条理でシュールでダークでアングラなあの頃のKOCの空気が帰ってきそうでワクワクしています。

 

・優勝予想

誰が優勝してもおかしくないと思うけど、配信で見る限り「二本とも強いな」と思わされたのはやはり前述の4組(ニッポンの社長、最高の人間、コットン、ビスケットブラザーズ )でした。

特に最高の人間は、最悪優勝しなくてもいいから何としてでも2本目を披露してコントの歴史を変えてほしい。

個人的には『ザ・エレクトリカルパレーズ』を観て好きになったコットンを応援したい。平場の強さも異常なので、優勝しなくても売れそうだけど。

順当に行けばニッポンの社長が優勝すると思います。ただ、過去の大会では松本人志さんの点数があまり伸びてないんですよね。(特に去年は最低点をつけている)

モロに松本フォロワー的な芸風なので、自身の直接的な影響下にある才能に対して厳しく見ているということなんだろうなと勝手に思っています。

ということで誰が優勝しても文句はないですが、最高の人間が2本ネタをやれるかどうか、松本人志さんがニッポンの社長をどう評価するのかを軸に見ていきたいと思います(優勝予想とは?)

 

お笑いに対する面倒な感情を発散する機会がないので今回こういう形で初めて駄文を書きましたが、好評なら他の賞レースや観たコンテンツに関してもやりたいです。

多分好評じゃなくてもやります。

【大切なお知らせ】

この度、私SWDは一身上の都合により2021年7月2日付で3年程勤めた会社を退職する運びとなりました。

正直なところ円満退社とは程遠い理由なのですが、直属の上司の方々には最後まで誠心誠意対応していただき感謝しかありません。

また、これまでの仕事や職場に未練はありません。今は清々しい気持ち半分、将来への不安半分といったところです。

至らない自分ではございましたが、これを貴重な経験とし今後の人生の糧として生かしていきたいと思います。

尚、退職理由の詳細について詮索してきた方につきましては適宜ブロックなどの対応をさせて頂く事をご了承ください。

以上、今後とも何卒よろしくお願いします。

 

コロナ陽性で暇なので日記を書くことにした。

2020年12月29日。抗原検査、PCR検査の両方で新型コロナウィルスの陽性反応が出ました。12/30現在、僕は病室の中でこれを書いています。

 

激動の2020年、個人的には良いニュースの方が多く上振れた年だったなと思っていたところ、最後にとんでもない下振れがやってきました。

時間だけは腐るほどあり、また今後コロナが収束する気配も全くないため、これから発症するかもしれない皆さんのためにも入院生活や症状の経過などをできる範囲で書き記していきたいと思っています。

初めに断っておきますが、当記事は某田舎住み20代男性、そして比較的軽い症状の人間が書いた推敲もしてないただの日記であり、検査や入院等の対応に関して症状や地域で差があるかもしれないことはご了承ください。

また、勿論私はコロナウィルスに関する専門家ではありません。最新の情報は必ず国や自治体がWeb上で公開しているものを参照していただければと思います。

日記は余裕がある時に随時更新していく予定です。

 

12/23(水)

最初に症状を感じたのがこの日。夕方に起き、すぐに喉に違和感を感じる。一応熱を測ったものの37度弱。その週の月曜日にほぼ徹夜で仕事に行ったことで疲れが溜まっていたのだと判断し、かかりつけの病院に来院。元々仕事が休みだったので助かった。

医師からは数年前に発症した咳喘息が再発したのではないかと診断され飲み薬、吸入薬などを処方される。

 

12/24(木)〜25(金)

まだ少し咳や喉の痛みがあるので職場に連絡し休みを貰う。症状は薬を飲んで少しおさまった気がする。このままいつも通り週明けには職場復帰できるだろうと思っていた。

 

12/26(土)〜27(日)

いつもならこの程度の風邪だったら3〜4日で回復するはずなのに症状に改善が見られない。

この辺りから咳や喉の痛みが酷くなり、鼻詰まりのような症状も見られ、匂いや味を感じづらくなる。ただそれがコロナ特有のものなのか鼻詰まりによるものなのか分からなかった。定期的に体温を測ってはいたが、発熱の症状は全くないため楽観視していたところもあるかもしれない。

 

12/28(月)

未だ症状が収まらず、むしろ悪化している。流石にこれはおかしいと感じ始める。このままただの風邪で休みを貰い続けるわけにもいかないので検査を受けることを決意。

深夜12時ごろに県のコールセンター(発熱患者等受診相談センター)に連絡すると、まずはかかりつけの病院に電話連絡し、そちらで対応が難しいようならコロナ対応している医療機関に連絡してくれとのことだった。自分が住んでいる地域の近くでも4軒ほど対応していたので一応電話番号を教えてもらった。

 

12/29(火)

朝9時ごろ、先週処方箋をもらった病院に電話連絡。

午前中のみの営業だったが、抗原検査が可能ということだったので対応してもらう。

コロナの疑いがあるということで病院の裏口に車を止め、問診などは全て電話で対応した。

年末ということもあり実際に検査を受けられたのは病院についてから2時間ほど経ってからだった。車に乗ったまま窓を開け、綿棒を鼻と喉に突っ込まれる。30分ほどで結果が出るとのことなので更に待つ。

12時頃、妊娠検査薬のようなキットに線が出ているのを見せられ、検査の結果陽性が出たと告げられた。

最初の感想は「ああ、やっぱりな」だ。逆に陰性だったらどうしようかと考えていた。

 

その後すぐ、保健所から電話がかかってきてPCR検査の案内があった。13時から別の病院で対応するので移動してほしいとのことだった。検査結果が出るのに半日から1日ほどかかるが、それで陽性だったらすぐに入院らしい。

まだPCR検査の結果が出ていないので確定ではないのが気になったが、ひとまず報告として職場に電話連絡した。

検査を受ける前はまず上司に連絡して、みたいなことをモゴモゴ言っていた気がするが、そんなことより自分の命の方が大事だ。

PCR検査は病院の駐車場で待ち合わせして、ドライブスルー方式で行った。順番に担当者から電話がかかり、誘導車の後ろに列に並ぶ形だ。検査自体は数分もかからず終わった。こちら側がやることは鼻と喉に棒を突っ込まれるだけで変わらない。

帰宅後、職場や保健所にここ2週間ほどの生活を洗いざらい聞かれたが、元より職場と自宅の往復みたいな生活をしている上、ここ数週間は趣味のゲーム大会が連続していたので体調管理にはより一層気をつけていたつもりだ。ただ、毎日のように不特定多数の客と接する仕事であること、そして同居している弟が通っている大学から数週間前に感染者が出ていたことなどが心当たりといえば心当たりだろうか。

そんなに食欲もないが一応インスタント食品を腹に入れ2時間ほど寝ていたら保健所からの電話で起きた。PCR検査の結果も陽性だったので、入院の準備をしてくださいとのことだった。

 

数時間の間に色々なことが起こりすぎて目が回りそうだったので、とりあえず布団の中でYouTubeを見て現実逃避した。

有難いことに、僕が寝ている間に同居している母が大体の荷造りを終わらせてくれていた。母と弟も明日PCR検査を受けるらしい。

夜ご飯は自分で作った。これから先、味の濃い食事は中々食べられないだろうということで、いつもより多く調味料を使ってペペロンチーノを作った。が、匂いが殆ど分からず味も半減して感じた。

 

症状が比較的軽いこともあり、寝る前はちょっとした旅行のような気分で入院中に観る予定の映画をDLしたりしていたが、いざ眠るとなると突然の入院生活、症状が悪化する可能性、家族や職場はどうなるのかなど様々な不安と恐怖に襲われる。

2時間ほど眠ろうとしては目が覚めを繰り返したのち、気分転換に久々のシャワーを浴びたら少しスッキリした。耳栓とアイマスクをつけ、深呼吸を繰り返していたらいつのまにか眠っていた。

 

12/30(水)

疲れもあり、なんだかんだ9時間くらい寝ていたらしい。

13時に起き、母が買ってきたコンビニのパスタを食べる。それなら昨日パスタ以外を作ればよかった。

14時にPCR検査を受けたのと同じ病院で待ち合わせ。発熱者専用外来の駐車場に止めさせられ、20分ほど待つ。途中、救急の方が忙しくしばらくお待たせするとアナウンスがあった。僕以外にも数人車で待っている人がおり、この人達全員陽性なのか…と思うと何故か少し安心した。

程なくして、4〜50代くらいのおじさんが連れてかれた。10分後、60代くらいのジジイも同じように連れていかれる。どちらも、見る限り症状はそこまで重くなさそうだ。

14:40頃、看護婦さんに呼ばれCT検査を受ける。白いドーナツ状の機械に体を通すアレだ。

検査は3分ほどで終わった。一旦車に戻り、この後採血や検尿などがあり入院となるらしい。駐車場に車を移動させる途中、ヘッドライトを病院の柱にぶつけてヒビを入れてしまった。退院後も色々な手続きがあるらしいが、仕事を一つ増やしてしまった。


病室に案内される。事前の電話では個室になるか大部屋になるか分からないとのことだったが(冷静に考えてコロナ陽性で大部屋通されるとかある?と思うが、病床が足りていない地域だとそういうこともあるのかもしれない)ちゃんと個室だった。

中は一般的なビジネスホテルより少し広いくらいだろうか。テレビ、トイレもある。洗濯とシャワーだけは別の患者と共用で、予約制らしい。

15時40分、今日の入院患者の受け入れが全て終わったとアナウンスがある。

電話でのオリエンテーションが終わり、いよいよここでの生活が始まる。

 

個人的には学生時代に長期入院をしたことや免許合宿の経験から長期間の引きこもり生活には慣れているし、元々苦に感じないタイプだと思っているが、普通に生活している社会人なら不安や恐怖で精神に異常をきたしてもおかしくないなと思った。自我が保てる程度には症状が軽かったのは本当に救いだと思った。

また、同居している家族や職場に迷惑をかけているのも心が痛む。

職場に関しては、1週間ほど前から休みを貰っていて濃厚接触者がいなかったこともあり消毒だけで済んだらしいが、同居している家族は僕の陽性が確定した時点で即濃厚接触者ということになり、PCR検査を受ける。陽性が判明した場合、僕と同じように翌日には入院となるだろう。

母親は現在50代で重症化すれば命の危険もある。LINEでのやりとりで、死の恐怖を感じ、ここ数日あまり寝付けていないとも話していた。月並みではあるが、これを読んでいる方も自分のため以上に、周りの人のためにも年末年始はハメを外さず極力感染に繋がる行動は避けてほしいと願う。

 

病室のTVを眺めていたら18時15分になっていた。夕食の配膳が行われる。

勿論手渡しというわけにはいかないので、病室の前に置いてある長机にお弁当が置かれ、アナウンスが終わり次第それを回収して食べるという形になる。(ちなみにゴミも支給されたビニール袋に入れ、長机に置いておけば回収してくれるそうだ)

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焼き魚と野菜。simpleシリーズthe病院食という感じだ。まだ生活リズムが狂ったままなので手をつける気にならずとりあえず放置。

 

程なくして担当医から携帯に電話があった。CT検査や血液検査の結果、比較的軽症の部類にあたるため、特に薬は出さず経過を見るということだった。

入院までさせられて薬も飲まず寝ているだけというのも不安になるが、まあいいだろう。

19時半頃、弁当を食べた。焼き魚がおいしかった。カリフラワーは甘酢か何かで漬けられていて初めて食べる味だった。鼻は完全に死んでいるが、舌はかろうじて生きている。

20時。面会終了のアナウンスがあったが自分たちには関係がない。

20時半。看護婦さんが酸素測定器を持って検査に来る。

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(指を挟むタイプのやつ)

正常。熱は全くないが、頭痛と少しボーッとする感じがあるのでアイスノンをもらってみた。袋に入れてガムテープで留めた状態で渡され、このまま使ってほしいとのことだった。

 

21時に消灯らしいが当たり前のように全く眠くない。相変わらず咳と息苦しさは酷いが、用意した映画か適当な動画でも観ながら過ごそうと思う。

 

12/31(木)

昨夜は結局3時頃まで眠れなかった。長い間昼夜逆転の生活をしていたため、慣れるのに時間がかかりそうだ。

夜中『百円の恋』という邦画とアニメを1話だけ観た。本当はもっと色んな作品をたくさん観たいが、体力が続かない。これは病気とか関係なく、自分が元々持つオタクとしての体力だ。何本も連続で作品を摂取できる人は凄いと思う。

 

10時に院内アナウンスがあり起きた。体温と血圧を測っておいてとのことだった。

部屋の外を見ると朝の弁当が置いてあったが寝起きで食べる気になれないのでとりあえず回収しておいた。

10時半頃、院内のコンビニから電話があった。ここでは昼食前に何か欲しいものがあれば取り寄せることができるらしい。

咄嗟のことであまり思いつかなかったが、とりあえず夜食用におにぎりと水、そして温かいものに飢えていたのでカップ味噌汁を何個か頼んだ。注文してから、この部屋にはお湯が無いことに気付いた。後でポットなどを借りられないか聞いてみよう…。

コンビニからの電話は一日一回しか来ないため、相当内容を吟味しなければいけないなと思った。今になって考えると、炭酸ジュースやお菓子も食べたい。

 

そういえばコロナの症状でよく挙げられる味覚についてだが、自分はおそらくそこまで症状は酷くない方だと思う。食べ物を口に運んでみれば、ちゃんと味がする。

そのかわり嗅覚に関しては殆ど感じ取れず、呼吸の苦しさも相まって常に鼻血が出ているような違和感がある。看護婦に電話で相談すると、昼食から咳止めと鼻詰まりの薬を少し出してみるとのことだった。

 

遅めの朝ごはんを食べた。f:id:bwd_shine:20201231110910j:image

このタイプの牛乳小学生ぶりに飲んだ…。

 

食後にシャワーの予約をした。と言ってもシャワー室の前に置いてある紙に部屋の番号を書くだけなのだが…。

シャワーは9時〜17時まで使えて、30分交代の予約制だ。自分は寝る直前にシャワーを浴びたい派なのでもう少し遅くまで開けてくれると助かるのだけど。

そういえば、患者のプライバシーに関してはかなり配慮されていると感じた。病室には個人名が書かれておらず、シャワーや洗濯機の予約は

部屋番号を書くだけで大丈夫。入院前には、ニュースなどで〇〇市の20代男性が陽性と報道されますが大丈夫ですか?と何度も確認された。

未だに従事者や患者に対する差別が絶えないということなのだろう。自分も退院後が少し心配だ。

 

LINEで家族のPCR検査の結果が送られてきた。

結果は母が陰性、弟が陽性。弟は現在無症状、母は咳などの症状があるものの陰性ということでひとまずは安心だ。やはり弟経由で感染した説が濃厚だろうか。

しばらくの間母には自宅で一人療養してもらうことになるが、年末年始はゆっくり過ごして欲しい。

 

お昼。f:id:bwd_shine:20210101032516j:image

揚げ出し豆腐のみでご飯を食べるのはしんどい。午前中に頼んだカップ味噌汁が一緒に届いていたので追加したら食べられた。お湯は共用の給湯室があり、そこから汲めることを知った。俺は無敵だ。

 

17時ごろ、入院して初めてのシャワーを浴びた。共用のシャワールームは、かなり広いスペースに、何故かソファとTVが置いてあった。ちょっとだけ、ラブホみてえだなと思った。

久しぶりに浴びたお湯は熱くて気持ちよかった。

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夕飯は大晦日ということもあり結構豪華だった。申し訳程度についてきた年越し蕎麦に温もりを感じる。昼食を食べてそんなに時間が経っていなかったこともあり、おかずを少し残してしまった…。

 

夜はずっとTVを観ていた。

ここ数年、年末年始は仕事や友人達と遊ぶことで忙しく、ゆっくりガキ使や紅白を観て年を越したことなんて殆どなかった。これはこれで悪くない。

夜食におにぎりを食べながら日記を書いたりLINEを返したりしていたら深夜4時になっていた。流石にそろそろ寝ようと思う。

 

1/1(金)

はっぴぃにゅうにゃあ。

朝7時に酸素検査で1度起こされそのまま二度寝。アラームをかけていた10時に起床した。

起きてすぐ、コンビニから電話がかかってきた。昨日の反省を活かし水、炭酸ジュース、ポテトチップス、喉飴を買った。今日はとりあえずそれくらいかなと思ったが、急に爪が伸びていることが気になって爪切りも買ってしまった。600円くらいして思ったより高かったので帰ってからも使い倒す。

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朝昼夜と正月っぽいメニューが続いた。お雑煮もおせちも何年もまともに食べていない気がする。弁当で刺身とカニが出てきたのにびっくりした。海鮮が有名な県に住んでいながら未だにカニの良さが分かっていない。

ネタ番組を眺めながら元旦を満喫した。

 

夕方にピクサーの『ウォーリー』を観た。キュートなロボット、サイレント、ディストピアSF、人間賛歌、ラブロマンス、おねショタ(?)など様々な要素をめちゃくちゃポップにスマートにまとめあげている傑作だった。ピクサーの無機物に命を吹き込む演出技術は凄いと思う。2021年最初に観る映画にこれを選んでよかった。

 

立て続けに『インクレディブル・ファミリー』も観た。前作がかなり好きなので何となく敬遠し続けていたけど普通に面白かった。

以前はヴァイオレットが好きだったけど(オタクなので…)CGの進化なのか俺の老化なのかイラスティガールに異常なエロさを感じてしまったのは秘密。

ジャックジャックの大暴れがもう少し見たかったのと、イマドキなテーマが後半ウヤムヤになっちゃったのはちょっと残念ポイント。

ディズニープラスの初月無料を最大限活かすためにしばらくは「気になるけど見てなかったディズニー作品」を観たいと思っている。

 

1/2(土)

また10時ごろにコンビニからの電話で起きた。今日は水とお茶に加えデザートも買った。10時半にベッドから出て外を見ると、朝食が既に回収されてしまっていた……。明日からはちゃんと起きます。

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昼食と夕食。やはり明らかに豪華だ。豚の角煮みたいなやつがおいしかった。三ヶ日が終わった途端精進料理みたいなメニューになったらどうしよう。

食事中に見ていたYouTubeで出てきた天下一品が異常に美味そうに見えた。退院後、落ち着いたら食べに行きたい。

 

お昼過ぎに映画を観ようと思ったら途中で寝落ちしてしまったので気分転換にシャワーを浴びた。

今日観たのは『アーロと少年』。ピクサーの中でもかなり地味な部類に入る作品だと思うけど、それも納得する感じの地味な映画だった。明日はそろそろディズニー以外を観ようかと思うが、あまり暗い作品を観る気分でも無いのでどうしたものか。

 

家族との連絡や看護婦との問診で何かと忙しく思ったより映画三昧ではないが、部屋に引きこもっていれば誰かがご飯を持ってきてくれる生活はある種理想のものかもしれない。

そういえば、弟も昨日から別の病院に入院しているらしい。ここと違い、コンビニもWi-Fiも無いのは少し辛そうだ。家族向けに、用意しておいた方が良いものなどを纏めておくべきだった。

自分はというと、数日前に咳止めの薬を貰ってからは、息切れと味覚障害が少しあるくらいで割と症状が安定している。

看護婦さんは症状の経過を見てホテル療養になる場合もあると言っていたが、できれば完治するまでここにいたい。

 

朝食を抜いた分、夜中に小腹が減ったので注文したミルクレープとゼリーを食べた。久々に食べた生クリームはバチバチに美味しかった。糖と脂肪は正義だ。

今日は早めに寝よう。

 

1/3(日)

昨日は結局3時ごろまで起きてしまった。どうせいつ起きても変わらないのに、どうしても寝るのがもったいなく感じてしまう。

朝、朝食を回収するために7時に一度起き、またコンビニから電話がかかってくる10時まで寝た。そろそろ入院生活も小慣れてきた感がある。

今日は水とお茶とコーラ、チーズ蒸しケーキを買った。あと、昨日の深夜に食べた堅揚げポテトが美味しかったのでまたポテトチップスを買ってしまった…。

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朝昼夜。夜に食べたサーモンサラダとタルタルソース的なやつが乗った魚がおいしかった。

 

昼過ぎにまた少し寝落ちしてしまい、弁当の回収が遅れそうになっていたところを看護婦さんに起こされてしまった。断片的に寝て起きてを繰り返したので今日は一日中眠かった気がする…。

 

夕方に『ア・ゴースト・ストーリー』という映画を観た。

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『ミッドサマー』などで有名なA24配給で評価が高かったので鑑賞。事故で命を落とした男が幽霊になって残された妻を見守るという内容だ。パッと見がホラーっぽくて敬遠していたが全然そんな事はなく、先が読めない展開が面白かった。ただ、全編を通してほぼ会話シーンや説明台詞がなく、受け手に想像を委ねるような長回しのカットも多いので途中で少し眠くなってしまった…。睡眠をしっかり取った上で観ることをお勧めしたい。

 

夜はTVで『天気の子』が放送されてたので公開当時ぶりに観た。面白かったけど、コ○ナ当事者として最後の特別メッセージで「うるせえ!!!」ってなってしまったのは秘密。

 

世間の人達は明日から仕事初めらしいが、後ろめたさ的なものは全くない。どうせ症状が全快したところで即職場復帰とはいかなそうだし、せめて長い冬休みを貰ったつもりでこの生活を楽しみたい。

 

1/4(月)

また3時ごろに寝て10時にコンビニからの電話で起きるやつをやった。

昨日水分をかなり消費してしまったため、水とお茶を2本ずつ、三ツ矢サイダーのいちご味を1本と多めに注文した。あとモンブランも。

乾燥した部屋に長くいると何かと喉が乾く。飲み水を確保する手段はコンビニ以外だと給湯室のお湯くらいしかない。次からはまとめ買いも検討しよう。

 

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今日のご飯。朝食のオムレツが異常にふわふわで美味しかった。夕食についてきたカップは、最初何かと思ったらタルタルソース的なやつだった。

汁物がついてくる時とついてない時がある(中身はコンソメスープだったり味噌汁だったり色々)ので、カップの味噌汁も何個か補充しておこう。

弁当は、生活リズムがズレているせいでだいたい配膳されてから2〜4時間くらい後に食べることが多い。惣菜はともかく汁物とご飯は冷たいと悲しいので、毎回給湯室にある電子レンジで温めている。

 

夕方にシャワーを浴びた。洗濯が面倒なのと人に会わないので2日に1回のペースでいいやと思っていたが、やはり1日空けるとだいぶ髪がベタついているのが分かる。今は症状もそこまで酷くないので、なるべく毎日入るようにしよう。

 

夕方に『カーズ クロスロード』を観た。

『カーズ』シリーズは一応1と2を観ている程度で特に思い入れがあるわけではなかったが、これは結構良かった。近年のディズニー/ピクサー作品はセカンドライフの在り方を問う作品が多い気がする。ラストレースの勝敗にもう一捻りロジックがあればもっと良かったのにと思った。

 

寝る前に『レディ・バード』を観た。これもA24配給。

同じグレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』はあまりハマらなかったけど、これは面白かった。

田舎の閉塞感や母親との関係性など共感できる部分も多く、終始自分の話として観れた。(僕自身に上京経験があればもっと刺さっていたのだろうけど)

ラスト、主人公が本名を名乗る場面は彼女の成長を示す良いシーンなのだけど、青春の終わりのようなものを感じて少し切ない気分にもなった。あと初めて車を運転するシーンも好き。

 

去年100本以上映画を観たので、今年は年間200本を目標にしたい。といっても、仕事が再開したらこんなペースでは観れないと思うけど…。普通の人は外出できないことで精神を病むらしいけど、自分は今のところまだまだこの生活が続いて構わない。むしろこの生活に慣れすぎて今から社会復帰できるのか不安だ…。

 

1/5(火)

2時ごろに寝て9時半ごろ起きた。

今日はコンビニで水×2、ほうじ茶、カルピスソーダ(りんご)、ファンタプレミアムピーチ、ゼリー、ピーナッツチョコ、堅揚げポテトを買った。注文してから、味噌汁を買おうとしていたのを思い出した…。

 

朝食はすぐ食べる気にならず、結局昼食が配膳される時間まで無為に時間を過ごしてしまった。

途中、職場の上司から電話があった。退院の時期などを聞かれたが、こちらもまだ何も聞かされていないので、分かり次第連絡すると伝えた。

仕事に行かなくなってもうすぐ丸々2週間になるが、正直自分がまた以前のように働いていることが既に想像しづらくなっている。

 

自分が働いている理由について、ぼんやりと考えたことがある。生きていくために必要なお金を稼ぐことは勿論だが、自分の場合は労働をすることで最低限の人間性を保っているようなところがある。

今の仕事に就く前に数週間ほど無職の時期があったが、その時は最低限の外出以外はせず、好きな時に寝て好きな時に食べてを繰り返すという本当に酷いものだった。今でも、2〜3日休みが続くと、休み明けを気にせずそんな生活になってしまうことが多々ある。

時間を有効利用できる人なら、定職に就かずフリーランスでお金を稼ぐこともできるだろうが、自分にはそれができそうにないということを入院生活で改めて確認した。やはり、何とかして社会に復帰するしかないようだ。

 

朝食をレンジで温めた後、洗濯物が溜まっていることに気付いたので予約しようとしたら今日の分は全て埋まっていた。明日こそは朝早く起きよう…。

 

夕方にシャワーを浴びた後、担当医から電話があった。最初に症状が出た日からもう2週間経ち感染力も弱まっていることや、現在の病状が安定していることを見て、明日にでも退院できるとのことだった。

だが突然の連絡だったので気持ちの整理がつかず、1日だけ退院を延ばしてもらうことにした。だいぶ安定してきたとはいえ、嗅覚異常や咳、息切れの症状はまだ少し残っている。退院後すぐに職場復帰なんてことになれば、余計迷惑をかけてしまうだろう。

 

退院日が決まったので上司に連絡すると、しばらく経ってから折り返しがあった。

母親が濃厚接触者にあたるため、母の自宅待機明けに合わせて僕も職場復帰という形になるそうだ。退院後も一週間以上休みを貰うことになり、申し訳ないやら安心するやらだ。。

これなら退院日を延ばしてもらう必要はなかったなとも思うが、ここでの生活に愛着が湧いてきていたのも確かだ。明日は入院生活最後の一日を楽しもうと思う。

 

 

ご飯。f:id:bwd_shine:20210105233558j:image
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ここでは白ごはん以外食べれないと思っていたので、夕飯に炒飯が出てきてびっくりした。

数日入院していた弟にも話を聞いたが、やはり症状が軽くなるごとに出てくる食事の内容も変わっている気がする。そういえば、毎日弁当をどれくらい食べられたか看護師に細かく聞かれていた。ちなみに他には体温、血圧、味や匂いは感じるか、咳やだるさはあるか、トイレの回数(下痢はしていないか)なども毎日決まった時間に聞かれる。

 

夜はお笑いの配信ライブを購入して観た。マヂカルラブリーno寄席。ランジャタイのネタにヤジを飛ばすくだりでバカほど笑った。まだチケット買えるし1000円でおつりが返ってくるので少しでも気になってるお笑いファンは絶対見てほしい。コロナ禍の無観客ライブが産んだ伝説。

 

一日一本は映画を観たいのでネトフリで『オクジャ』を観た。

『パラサイト』のポンジュノ監督作品を観るのはこれで3つ目だけど、自分はあんまりハマらなかった…。エンタメと批評性を絶妙なバランスで成り立たせているのが同監督の持ち味だと思うのだけど、これはエンタメに振りすぎてしまったような。

 

寝る前に洗濯機とシャワーの予約をした。

この日記を見返していて思ったが、具体的な病院名などを伏せているとはいえ関係者が見たら即自分だと分かるような内容な為、退院後しばらくしたら一旦非公開にしようかなとぼんやり思っている。(ちなみに陽性が判明した瞬間まず最初にしたのはTwitterを鍵垢にしたことだ)

せっかく他の人にできない体験をしたのだしコロナに感染するとこれだけめんどくさくてこれだけ周りに迷惑がかかるよ、ということが少しでも伝わればいいなと思って書き始めたが、だんだんと個人的な日記の色が強くなってしまったというのもある。

数年後に自分が見返して、こんなこともあったなと思えれば充分だろう。

 

1/6(水)

8時半ごろ起きた。いつもは昼頃になってようやく食べだすが、今日は珍しく起きてすぐ朝食を摂った。入院生活も終盤に差し掛かり、だんだんと一般的な生活リズムに近づいている気がする。まあ、その後映画を観ていたら途中で寝落ちしてしまったのだけど…。

しかも、12時から洗濯の予約をしていたにも関わらず起きたのが12時半だったので乾燥が間に合わなかった…。一日中ベッドで過ごしているとすぐに眠りに落ちてしまう。

 

最後のコンビニからの電話は、水とお茶×2ずつ、コーラ、ポテトチップス、ゼリー、プリン、カップ味噌汁を頼んだ。

入院生活でゼリーが好きになった。果物がいっぱい入ってるやつ。

ただカップ味噌汁とポテチは余計だった…。

 

ご飯。f:id:bwd_shine:20210106232021j:image
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夕飯に出てきたコーンスープが美味しかった。相変わらず匂いは全く分からないのが不安だ…温めた汁物などを飲んでも、鼻に抜ける香りが全くない。退院後は何か美味しいものをと思っていたが、完治するまで我慢しようかな…。

 

今日は『モアナと伝説の海』と『母なる証明』を観た。

母なる証明』は何も事前情報無しで観たが、ポンジュノ監督らしいどこに行き着くか分からない作品でめちゃくちゃ面白かった。ラストカットが凄すぎる。

ただ、どっちも途中で寝落ちしてしまったのが残念…。映画の倍速視聴は許されるか?みたいな話題がよくあるけど、視聴途中で中断して他のことをするのはどうなんだろう。自分は寝落ち以外でも集中力が続かずよくやってしまう…。

 

明日はお昼頃に諸々の手続きをしてついに退院となる。丸々1週間外の空気を吸わずに過ごすのは初めての経験だったが、比較的症状が軽かったことや病院側の手厚いサポートもあり、病状が悪化したり精神的に不安定になることもなく穏やかに生きることができた。改めて、医療従事者の方々には感謝してもし切れない。

おやすみなさい。

 

1/7(木)

昨日は結局3時頃まで眠れなかった。1週間ぶりに外に出るのは何故か物凄く緊張した。刑務所から出る人間もこんな心境なのだろうか。

9時頃に看護師からの電話で起こされた。昼から退院の予定だったが、雪が酷くなりそうなので早めに出た方がいいとのことだった。

大体の荷造りはしていたが、着替えや、荷物を減らすために食事をしていたら結局10時くらいになってしまった。

ちなみに退院時の服は、入院中に着る服とは別の袋に入れて用意して欲しいと言われていたのでその通りにした。

退院時に渡す書類があるとのことでてっきり何か手続きがあるのかと思っていたが、簡単なアンケートを書かされた程度で後は封筒に入れた書類を確認してくださいとのことだった。

 

10時頃、看護師に案内されて専用の通路を通り外に出た。退院の挨拶なども最低限でそのまま放り出されたのは拍子抜けだったが、1週間ぶりに外気に触れた。鼻が効かないので冬の匂いは感じなかったが、風が強く冷たかった。

車の中で封筒を確認すると、入院時に渡さなかった申込書や診療計画書、退院後の過ごし方を書いた紙、切手が貼ってある封筒などが入っていた。署名して返送しなければいけないものもあるらしい。

治療費用に関しては国の公費でまかなわれるらしく、原則患者側の負担はない。(持病の治療が行われたり、所得によっては一部支払いがあるらしい) 日本に生まれていてよかった。

あと、コンビニで購入した分の金額に関しては後日請求書が届くらしい。

 

12時頃自宅に帰った。まだ咳や嗅覚異常の症状が残っていて、後遺症の心配もあるため職場復帰するまでは極力外に出ず、今の生活を続けようと思う。

 

というわけで本記事の更新は以上になります。ここまで読んでくれた方がもしいればありがとうございました。この日記は途中書いたように、読む人が読めば容易に個人を特定できるような内容になってしまったので、復職後しばらくしたら適当なタイミングで非公開にしようと思います。

入院中もSNSなどでいいねやメッセージをくれた関係者各位には勇気を貰いました。非常に感謝しています。今後も皆様の健康を祈っています。

それではまた。

『キミスイ』作者によるアンチセカイ系映画『青くて痛くて脆い』 レビュー動画書き起こし風レビュー

さあ始まりましたSWDの映画レビュー、今日レビューしていく映画はこちら!『青くて痛くて脆い』

<BGM:BLUE ENCOUNT「ユメミグサ」が流れる>

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「君の膵臓をたべたい」でデビューした小説家・住野よるの第五作目「青くて痛くて脆い」を実写映画化。
『キングダム』の吉沢亮を主演に迎え、ヒロインを『湯を沸かすほどの熱い愛』の杉咲花が務める。人付き合いが苦手な大学生田畑楓と、空気の読めない発言ばかりで周囲から浮きまくっている秋好寿乃。まるで正反対なひとりぼっち同士の2人が「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル【モアイ】を作るが、秋好はこの世界からいなくなってしまいモアイも社会人とのコネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系就活サークルに成り下がってしまう。
取り残されてしまった楓は、秋好が叶えたかった夢を取り戻すために親友や後輩と手を組み【モアイ奪還計画】を企む....。

 

といったあらすじなんですけども…皆さんこの映画観ました?夏あたりに劇場予告で散々流れてたんでタイトルくらいは知ってる方も多いかなとは思うんですけど…最初のなんとなくの「あーそういうヤツね」って印象で観ない映画の箱に入れてませんでした?実は僕もそうだったんですよね(笑)

まあ今年は本来春や夏に公開される予定だった大作が延期された結果、9月~10月間に話題作が集中したってのも大きいと思うんですけど、なんとなくで後回しにしてましたよね?

でも最初に結論言います。僕は、思いもよらず、めっちゃ刺さってしまった作品でした。最近はこういうご時世で中々劇場にも行きづらいということで、リピートは控えて新作を観ることを優先してたんですけども、それでも2回観ちゃいましたね。刺さりすぎて。

この思いもよらず、ってのはそもそも僕自身が原作の住野よるさんの作品に対して間違った偏見を持っていたことが大きいんですけども、今作はそういった、なんとなくの印象で人を決めつけることに対しても警鐘を鳴らす作品でもあるので。その辺も含めてレビューしていきたいと思います!

 

はい、まず原作者の住野よるさんなんですが…男性の方なんですね。なんとなく女性っぽいペンネームなので勘違いしてたんですけども、今作の「女々しい男描写」の解像度の高さなんかは確かにな~といった感じで納得しましたね。その辺も追々触れていきましょう。

で、元々は小説投稿サイト「小説家になろう」出身の作家ということで、代表作として一番皆さんに聞き馴染みがあるのは、やはりデビュー作の『君の膵臓をたべたい』ではないでしょうか。当時高校生だった浜辺美波さん、今や国民的女優といった感じで同じ石川県出身として鼻が高いなーなんて今更思っているわけですけども、そんな彼女の出世作となった2017年の実写映画版、そして2018年のアニメ映画版も記憶に新しいと思います。

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ちなみにアニメ版は主役の男の子を『仮面ライダー鎧武』のミッチでお馴染みの高杉真宙君が演じてて個人的に気になっていたんですけども、当時は恋愛映画アレルギーを拗らせていたというのもありスルーしていたんですよね。こちらも機会があれば見てみようかなと思っています。

 

さて、今作を語る際にこの『キミスイ』を語らないわけにはいかないのでまずはこちらの作品に触れていきたいと思います。

というのも、原作者の住野さん自身がこの『青くて痛くて脆い』について「キミスイ感動してくれた全ての人たちの心を、 この本で塗り替えたい」とインタビューで語ってるんですよね。いわば「アンチ青春映画」としての今作なんですけども、じゃあ僕はキミスイをどう感じたかっていうと…正直あまりピンとこなかったというのが率直な感想なんですよね。

簡単にあらすじをなぞると、主人公の高校生の男の子が病院で「共病文庫」と書かれた一冊の本を発見するんだけど、それがクラスメイトの女の子の秘密の日記帳だったことが判明し、また彼女には難病があり余命が長くないことが分かり…という話なんですね。…なんですけども、金曜ロードショーで放送されてたのを雑に流し見してたっていう僕の視聴環境の悪さを差し引いてもよくある難病モノにしか見えなくて、イマイチのめりこめなかったんですよね。

「死ぬまでにやりたいことリスト」なんかベタ中のベタなモチーフだし、終盤の交通事故のくだりなんかあまりにも唐突だしね。今めちゃくちゃ重大なネタバレをサラッとしちゃいましたけども。死は君たちが思ってるほどドラマチックなものじゃなく唐突に訪れるものだ、的なことを伝えたかったのかもしれないけどさ。

まあ、主演の浜辺美波さんはめちゃくちゃ可愛かったけどね。死ぬほど可愛い当時高校生の浜辺美波のあの一瞬を切り取ってるってだけでアイドル映画として価値はあると思いますが、それ以上の感想は無かったと。

 

そんな『キミスイ』に全くノレなかった自分が更にその『キミスイ』の価値観を塗り替えるって言われても…って感じで最初は全く期待してなかったんですよ。そもそものスタートラインにすら立ててないんじゃないかって感じで。

でもそんな不安は杞憂に過ぎなかったどころか今年ベスト級の大傑作でしたというわけで、ここからようやく本編の話に入っていくんですが、その前にYouTube東宝公式チャンネルさんの方で本編の冒頭映像を10分にまとめたあらすじ動画が公開されているのでそちらも一緒にご覧いただけるとより作品の雰囲気がイメージしやすいかと思います。ただ、こちらも完全初見で楽しみたい方にとってはノイズでしかないと思うので(笑)まっさらな状態で観たい方は今すぐブラウザバックして映画のチケットを取ってください。

www.youtube.com

 

はい、まずド頭なんですけども、いきなりパラパラ漫画のような映像から始まるんですね。これは映画中に繰り返し出てくるモチーフで、この棒人間が歩いている映像が徐々に大学の風景に変わっていく演出なんかは、それこそ映画ならではといった感じで中々印象的な辺りなんですけども、この映像のバックで流れるモノローグで、主人公の楓は「不用意に人を傷つけないこと、そして人の意見を否定しないこと」が生きる上でのテーマだと分かります。ここで面白いのはその「人を傷つけない」理由が「傷つけてしまった誰かから傷つけられる」ことが嫌だからということですね。彼は「人を傷つけること」そのものではなく、あくまで人間関係によって起きる摩擦を恐れているんです。

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そんな彼の性格が一瞬で伝わってくる冒頭のシークエンス、これが巧いですね。大学のサークル勧誘のチラシを、一旦全て受け取ってから人目のつかないところでまとめて捨てるっていう。最初から目を通すつもりは無いけど、その都度断るのも面倒っていう彼の性格を表してるんですね。これはまさに陰の者あるあるというか、僕も家に宗教勧誘が来たときなんかはまさに「居留守してインターホンを数回鳴らされたり下手に断ろうとして話がこじれるのも面倒だな…」ってなって毎回受け取ってますからね(笑)

 

というわけで冒頭から既に「あっ、これ面白い映画だ…」って雰囲気がビンビンに漂ってるんですが、次の今作のヒロインである秋好との出会いのシーン!これがヤバいんです。

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大学の授業中、何か質問はあるか?といった先生の問いに対して秋好がまっすぐ手を挙げて、「どうして戦争は無くならないんですか?」と質問するんですね。この時点でまーヤバいんですけど、軽くあしらおうとする教授に対して、なおも秋好は理想論を語り続けるという。しかもこれ、入学して早々の出来事ですからね?

そもそも大学の教授の「質問はあるか?」って美容院の「痒いところありますか?」みたいなもんですからね。それに対してわざわざ「耳の裏とつむじの辺りが痒いんで集中的に掻いてもらえますか?」って細かく注文してくる客がいたらちょっと「え?」ってなりますよね。まあ今の例えは自分でもハマってない感覚あったんで忘れて欲しいんですけども(笑)しかも僕自身は大学で授業受けたこと一回もないっていう(笑)

 

で、この出来事をきっかけに2人の交流が始まるんですが、最初の方は秋好が一方的に話しかけてるだけで楓は迷惑そうにしてるんですね。この辺りの会話シーンは吉沢亮演じる楓の全身に滲み出る隠キャオーラ、特に目の泳ぎ方なんかがまさにそういう人、といった感じで凄いですね。この映画、全編を通して吉沢亮の目の演技が凄くてそれだけでご飯3杯いけますって感じなんですけど(笑) あと、他人と会話する時に意識して声をワントーン上げてるんだろうな~っていう、ちょっと上ずってる感じとかね。

で、その吉沢亮演じる楓の隠な感じとは対照的な、杉咲花演じる秋好の純粋さ、陽っぷりですよね。これがもう、あまりにも違う人種過ぎて笑っちゃうっていう。序盤は、そんな全然違う人種の2人が大学で浮いてるっていう共通点だけで徐々に仲良くなっていく面白さもあるんですよね。

秋好が興味を持ってるサークルのチョイスもいいですよね。模擬国連て!僕なんかは最初これ、架空の意識高い系サークルなのかななんて思ったりしたんですけど、調べたらそれなりにどこにでもあるサークルっぽいですね(笑) 

そんな中どのサークルにも馴染めなかった、やりたいことが無かったと語る秋好に対し楓は「そんなにやりたいことがあるなら自分で作ったら?」と提案するわけですが、これが冒頭のあらすじでも出てきた「モアイ」という秘密結社を作るキッカケになるわけです。まあ秘密結社とは言ってもゴミ拾いなどのボランティア活動を通して世界をよりよくしていくという小さな組織なんですけども。

 

ここまで聞いて、何かこういう話聞いた事あるな~って思った方いますよね。そう、これ『涼宮ハルヒの憂鬱』の冒頭にそっくりなんですよ!物事を俯瞰で見てるやれやれ系主人公とぶっ飛んだ思考を持った女の子が2人の秘密結社を作るっていう。

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まあ僕自身は『ハルヒ』をまともに観たことはないんですが(笑)でもそんな僕でも「これハルヒじゃん!SOS団じゃん!」ってなるくらいなんで恐らくこれは意図的なものだと思います。このあえて定型的なセカイ系モチーフはしっかり後半の展開に活かされていきます。

そして、モアイでのボランティア活動を通し、だんだんと秋好の青臭い考え方も悪くないんじゃないかと考えるようになる楓なんですが…ここで時系列が一気に3年後に飛び、秋好が既にこの世界からいなくなってしまったこと、そしてモアイが当初の目的から離れた意識高い系就活サークルに変わってしまったことが語られます。

ここで、今作の青春サスペンスとしての側面が明かされたところで、ゆっくりと『青くて痛くて脆い』というタイトルが浮かび上がってくるという!これもう、既に最高でしょ(笑) タイトルの出し方が最高な映画はそれだけで加点されますからね。

 

はい、そしてここからは大学4年生になった楓の視点で過去と現在の時系列を行き来しながら、どうして彼女は死んでしまったのか?どうしてモアイは変わってしまったのか?を徐々に明らかにしていきます。この、結果から見せて過程を逆算していくという手法はともすれば予定調和的な後出しジャンケンに見えてしまうと思うんですが、並行して描かれるモアイへ潜入し組織の闇を暴くスパイパートが割と緊迫感を持って観れるつくりになっていることや、物語中盤にある大仕掛けのおかげで個人的には全く気にならなかったです。じゃあその大仕掛けってなんだよって話なんですが…。

はい、というわけでここからはネタバレして欲しくない!完全にまっさらな状態で観たい!って方は今すぐブラウザバックしてください!まあ、正直予告とかで予想できる範囲ではあるかなと思うんですが、僕は完全初見で観てかなり驚かされた部分でもあったので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろよろしいでしょうか…?では中盤以降の話をしていきます。

中盤の回想で、モアイが変わる原因となったある人物が出てきます。それが柄本佑さん演じる脇坂という男なんですけど、このキャラが二人だけの世界、この場合はカタカナの方のセカイと言った方がいいかもしれません、二人だけのセカイだったモアイに加入することで楓は徐々に疎外感を感じていくようになるんですね。

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この脇坂というキャラ、ファーストコンタクトからにじみ出る、うさん臭さというか異物感が最高でやはり柄本さんは名優の血を引いてるだけあるな~なんて感じるんですけどもね。ともかく彼の差し金でモアイが当初のコンセプトから離れ巨大な存在になっていったことや、秋好と脇坂が知らない間に付き合っていた(!)ことを知った楓は、モアイを去り自分からモアイを奪った者たちに復讐を誓い、冒頭のシーンへ…となるわけです。


はい、ここで序盤から死んだ、この世界からいなくなってしまったとされていた秋好が実は健在で、活動内容が大きく変わってしまった今もモアイの代表を務めていることが分かります。つまり楓が言う「死んだ」とは自分のセカイからいなくなった。自分が思い描いていた秋好ではなくなったことを指していたんです。

この展開も中々衝撃的というか、「どうせなんだかんだ言って主役の二人が結ばれるんでしょ?」っていう斜に構えた見方をした人とか所謂セカイ系を散々見てきたオタクほど騙されやすい話だと思うんですよねこれ(笑)不可侵だと思い込んでいた領域がズカズカと踏み荒らされる感覚というか。

だってこれ、言ってみればキョンの見てないとこでハルヒと小泉が付き合ってたみたいな話ですからね!?『ハルヒif』みたいな話なんですよ!まあ繰り返し言いますけど、僕はハルヒ見たこと無いんで例え間違ってたら申し訳ないんですけど(笑)

 

とはいえよくよく話を聞いてると、秋好側もそこに至るまでに楓に対して何度もこのままでいいの?楓はどうしたいの?ってことを聞いてるんですよね。でも人の意見を否定したくない、それによって生じるかもしれない人間関係の摩擦を恐れる楓はその度に自分の気持ちに蓋をしてはぐらかしてるんです。この辺展開を分かって観てるとかなりもどかしい部分でもあるんですけど(笑) 二人のディスコミュニケーションの話でもあるんですね。

 

そんなある意味自業自得とも言えるような理由でモアイへの復讐をしていたことが分かるんですが…ここから完全に吉沢亮暴走タイムに入ります(笑)

モアイの批判を書き殴ったチラシを学校中にばら撒く吉沢亮、モアイの内部情報をTwitterに匿名で投稿して炎上させる吉沢亮、あれだけ好きだった秋好に罵倒を浴びせまくる吉沢亮…とにかく吉沢亮が嫉妬と正義感に狂っていく様が圧巻なんですよ!!

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冒頭で吉沢亮の目の演技がヤバい!って言ったと思うんですけど、特に秋好との直接対決シーンとかはもう見てるだけで辛くなってきますね。ここで、予告でも使われてる秋好の「気持ち悪い」って台詞が出てくるんですが、それを言われた瞬間のあの、今にも涙が溢れそうな目で、ちっぽけな自分の自我を守るために思ってもない罵声を浴びせ続けるところなんかもうね…。

 

 

はい、というわけでこの映画、起きてしまったことだけを追っていくと、大学生活の最初にたまたま話しかけられただけで自分に好意を持ってると勘違いした陰キャ男子が逆恨みで暴走していくだけの話にも思えるし、主人公の楓が女々しい!共感できない!っていう人が多いのも分かるんですが…じゃあ楓が彼女と過ごした時間は完全に無駄なものだったか?偽りのものだったか?と言われると、全くそんなことは無いんですよね。

中盤の回想で、楓と秋好がボランティア活動の一環でフリースクールに通う瑞季という不登校の少女と交流するシーンがあります。

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アニメファン的には『天気の子』陽菜役でもお馴染みの森七奈さんが演じていてこれまた最高のキャスティングなんですが、彼女は現に二人との交流を通じて勉強の楽しさを知り、音楽に自分の居場所を見つけることができたんですよね。世界を救おうと行動したつもりが何も変えられなかった、そんな二人は確かに彼女の世界を変えていたんですよ。このフリースクールのシーン及び瑞季は原作には存在しない改変ポイントらしいんですが、楓と秋好の青春時代の象徴のようなキャラクターで個人的には大正解だと思います。

 

そんなこんなで楓の小さな嫉妬心から始まったモアイ奪還作戦は一旦の終わりを迎えるわけですが、その結果としてモアイは解散に追い込まれてしまい、秋好を傷つけてしまったという事実だけが残ります。

ここで辛いのは、あの、世界を本気で救えると信じて疑わなかった秋好ですら自分の行動は間違っていたのかもしれない、自分勝手な自己満足だったのかもしれないと振り返っているところですよね。

ライムスター宇多丸氏が自身の青春映画評の中でよく「無限に思えた可能性の輪が閉じるのが青春の終わり」と話しているんですが、まさにそういう話なんですよ。このシーンは楓の青春の終わりでありながら、同時に秋好の青春の終わりでもあるっていう。

 

ただこの映画が素晴らしいのは、その一旦閉じた可能性の輪を、また更に開くというか、残された可能性を信じてるところなんですよね。

ラスト、何も変わらなかったかに見えた世界で秋好だけがいない日常を過ごしてた楓が、一度解散した後、有志の力で本来の姿を取り戻しつつあるモアイを見て走り出すあのシーン!もう、男泣きですよ。今まで自分の想いに蓋をして、傷つくことを恐れてた楓の、まさに青くて痛い着地ですよね。

そしてこのラストの、あえて秋好の表情を見せない演出、個人的には山田尚子監督『リズと青い鳥』のラストカットを思い出したりもしました。あれも希美とみぞれという女の子達のディスコミュニケーションの話でしたよね。あとちょっと『インセプション』のラスト的なものも感じたっていう(笑) 結果そのものより、結果を気にしなくなった事が重要っていうね。まあこれに関しては最近『テネット』に影響されてノーラン作品をちょいちょい観てるってだけのこじつけなんですけども(笑)

 

で、この映画が伝えたかったことって結局何だったのって話なんですけど、僕の解釈ですよ?僕の解釈は「色んな自分を肯定してあげよう」っていうことだと思うんですよ。

というのも、中盤の飲み会のシーンで本田というキャラ、通称ポンちゃんが1年の後輩に向けてこんなセリフを言ってるんです。うろ覚えの意訳になってしまいますが聞いてください。

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 「お酒を飲んでヘラヘラしてるのも私、クソ真面目に遠恋してるのも私。多分100種類くらいの自分がいるけど、どれも全部私なんだよ」

…というセリフなんですが、これは楓に対しての言葉でもあるんですよね。

楓は自分の人生に「人を傷つけない」というテーマを掲げ、それに縛られるがゆえに自らの殻を破れなかったキャラなわけですが、その姿勢は他者に対しても同じです。自らのイメージ、こうあってほしいという理想からはみ出した瞬間に裏切られた、傷つけられたと感じ更に負のスパイラルに落ちていく…今作はそんな、自分や他人に対しテーマを設定し、その枠から抜け出せない人間を戒めるような作品なんですね。ここでも、あえての定型的なセカイ系っぽい設定が活きてくるわけです。

恐ろしいのはこの話を、どちらかというとセカイ系を世に送り出す側であるところの住野よるさんが書いているということですよ!まさに住野よるさん自身が、「高校生の純粋な恋愛を書く住野よるも、大学生の痛い恋愛を書く住野よるも、全部私なんだよ」って言ってるような話だったんですね(笑)

 

はい!というわけで『青くて痛くて脆い』について語ってきましたが…2回目を鑑賞した勢いのまま、取り留めなく喋ってしまったのでお聞き苦しいものになっていましたら申し訳ありません!

主演の吉沢亮さんは2011年に『仮面ライダーフォーゼ』でデビューしてから2017年の実写『銀魂』で評価、ブレイクするまで約6年という実に遅咲きな俳優だったわけですけども…彼の経歴に残る重要な一作になったんではないかと思っております!この男の演技の幅、本当に底知れないですよ…!

また、吉沢亮さん筆頭に役者陣が本当に素晴らしいですね!個人的にはモアイの幹部、テン役の清水尋也さんが出てきてからのイヤ~な大学生描写、イヤ~なSNS描写、これ褒め言葉なんですけども、ここら辺は朝井リョウさん原作の『何者』とかを思い出した辺りで楽しかったですし、あとイヤな役と言えば光石研さんね!これがホントに胸糞悪くなる系のイヤさで、人によっては覚悟が必要なんじゃないかっていう…めちゃくちゃ褒めてますけどもね。ともあれ、今を彩る役者陣が織りなすイヤ~な人間関係を楽しめるという点でもオススメです!(笑)

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はい、本当は監督の狩山俊輔さんの経歴や演出についてとかね!他にも色々語りたいことはあったんですがあまりにも動画が長くなりすぎるので今回はここまでにさせていただきます!

ということで『青くて痛くて脆い』個人的には今年ベスト級の大事な作品になってしまいました!8月下旬公開の作品ということで既に公開を終了している劇場も多いんですが、観てから色々語りたくなること間違いなしの作品なので、週末観る映画に悩んでいる方は是非是非劇場に足を運んでみてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近映画レビュー系の動画を見ることが多く真似したいなと思ったんですが、自分で録音して投稿する技術も勇気もないのでこういう形になりました。思ったより全然それっぽくならなくてビックリしたと同時に、レビュアーの方たちは大変なことをやってるんだなあと思いました。もう二度とやらないと思います。

ともあれ僕をこんな青くて痛い行動に走らせてしまった作品、『青くて痛くて脆い』は最高の映画なので皆さん観てください。

僕とプロツアー。

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《自分語りのガラク


2020/3/24、Magic Online上で行われたリミテッドPTQにおいて準優勝という成績を残し、自身初となるプレイヤーズツアーの権利を得ることができた。

 

 

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タルキール龍紀伝の頃にマジックを始めたので、丸5年ということになるだろうか。それこそまだPTがプロツアーという名前だった時から、何度も憧れ、夢にまで見た舞台に自分が立てるということに正直まだ実感が湧いていない。
こんな時くらい、少しだけ自分語りをさせて欲しい。

僕が初めてマジックに触れたのは2015年の5月16日だ。

その頃の自分は学生時代から続けていたデュエルマスターズを中心にプレイしていたが、現在のように公式が競技層に向けて力を入れていない時期で、年に一回の公式大会以外は非公式で開催されるCSと呼ばれる中規模大会が主な目標という感じだった。
一度だけバカヅキでエリア大会優勝、全国大会トップ8という成績を収めたが、その後は定期的にCSや公式大会に遠征しては予選落ちを繰り返していた。ただ、それでも自分はなんとなくこの先もこのゲームをプレイし続けるんだろうなと感じていた。

 

話を戻そう。いつものように石川勢とTSUTAYA金沢店に遊びに来ていた僕は、当時まだ石川にいた米さんとナダルさんに誘われ、ルールを教えてもらいながらシールド戦をした。当時タルキール覇王譚でフェッチランドが再録されたことにより他TCG層が大量に流入し、その流れに自分も乗っかった形だ。初めて剥いたパックから《汚染された三角州》を引き、当時学生だった自分は「それ2千円くらいするよ」と教えてもらって「こんなカジュアルに2千円出るの!?」と驚いた。まだサイドボードもインスタントの概念も知らない状態だったが「パックから剥いたカードでそのまま遊ぶ」という体験は国産TCGしかプレイしたことがなかった自分にとっては新鮮だった。先に始めていたはずの米さんに2-0か2-1で勝ち越し、その時は気分が良かったのを覚えている。

 

 最初は「遊ぶ分にはいいかな」くらいの距離感だったが、そこからハマり始めるまでが早かった。元々TCGの競技プレイに興味があった僕は、TwitterのTLから流れてくる断片的な情報を元に当時のスタンダードのメタデッキや大会結果の情報を少しづつ漁り始めた。歴史が長いゲームゆえ膨大な数の戦略記事やカバレージが溢れていて、欲しいと思った情報にすぐに辿り着けるという体験が嬉しかった。

その過程でプロツアーという賞金制の世界大会があること、そして直近のプロツアーで日本人が準優勝したことも知った。八十岡翔太だ。

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後のプロツアーチャンプである

僕にとっては初めて知ったMTGのプロということになり、その憧れが今でも続いている。初めて組んだスタンダードのデッキはエスパードラゴンだし、PT龍紀伝の対戦動画は何度も繰り返し見たし、八十岡氏本人による青黒ドラゴンの調整記は今でも読み返すほど大好きな記事だ。

八十岡翔太の「青黒ドラゴンコントロール」構築録|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

 まだプロツアーへどうやったら行けるのかも分かっていない僕だったが、資産が無いながらにスタンダードのデッキを組み、プレリリースにも初めて参加し、徐々にマジックにかける比重が大きくなっていった。

 

そんな中、2016年の1月に名古屋で開催されるリミテッドGPに誘われた。
名古屋はデュエマ時代からの友人が住んでいることや、先述のCSが頻繁に開催されていた地域ということもあり、比較的馴染み深い場所だ。参加に躊躇はなかった。
結果から言えば、僕は初日シールド7-2、二日目ドラフト4-2(3-0、1-2)で11-4という成績を収めた。GP初参加かつリミテッドという経験が大事なフォーマットでこれは今考えても色々と出来過ぎな結果だ。
しかし運に恵まれていたとはいえ一時は2敗をキープし、あと2勝でPT、1勝でも賞金圏内のマッチを連敗したのは堪えた。

「もっと上手くなりたい」

そんな感情がふつふつと沸き上がっているのを感じつつ、会場を後にした。

 

MagicOnlineのアカウントを作ったのは、石川に帰ってしばらく経ってからだったと思う。

GP前の調整方法はSkypeのビデオ通話で各々が買ってきたパックを開封し構築を検討する(?!)という今では考えられないようなアナログな手法で余りにも効率が悪かった。コミュニティと言えるコミュニティに所属しておらず、店舗や大会の開催数も少ない田舎に住んでいた自分が競技プレイをする上で、オンラインの対戦ツールは必須だと感じた。

何より、オンラインでの練習はDM時代から慣れている。(DMにもDMVaultという非公式の対戦ツールがあり、僕は昔その廃人だった)

最初は資産が無いためドラフトをして資産を集め、そのうち構築も遊べたらいいなあくらいの気持ちでドラフトに潜り続けたのだが…勝てない。とにかく勝てない。一瞬にして初期資産が無くなり、課金を余儀なくされた。
それもそのはず、当時のMOのドラフトは15ドルという紙で遊ぶのとほぼ変わらない(何ならドルの分リアルより高い)参加費で、2-0しないと賞品が貰えずペイできないという初心者にとって厳しすぎる環境だった。間接的に15ドルを奪い合う弱肉強食の世界で、ドラフトのドの字も分からないズブの素人の自分が廃人達にカモにされるのは自然の摂理だ。

それでも、アルバイトで昼夜逆転の生活を送っていた自分にとって深夜に家にいながらにして世界の対戦相手とドラフトが楽しめるというのは大きな魅力で、サンドバッグにされ続けながらも課金を繰り返した。

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当時の課金履歴。細かい課金が多いのはドラフトでピックしたカードを即座に売り、足りない分を課金して賄っていたからだ。

 最初はガムシャラにピックと対戦を繰り返していたが、そのうちリミテッドに関する記事を読みふけるようになった。現在でも毎弾公式でリミテッド記事を執筆している行弘賢氏によるドラフトセオリーや、シールドマスターとして知られるrizerこと石村信太朗氏の戦略記事は今でも僕のリミテッドの教科書だ。

行弘賢と学ぶドラフトセオリー vol.1 ~序盤はカードパワー~ | 記事

ライザの『イニストラードを覆う影』シールド環境徹底攻略! 石村信太朗|Dig マジック:ザ・ギャザリング<MTG>情報

その甲斐もあり、いつの間にか課金せずともMOが遊べる程度には資産が増えていた。今思えば、この時の経験が僕の地力を鍛えてくれたのかもしれない。

MOを導入して以降、ずっと続けていたDMを休止しMTGに本腰を入れてプレイしていくことにした僕だが、だからといってすぐに結果が出るほどこのゲームは甘くなかった。

GPの数か月前から調整をしていたにも関わらず初日落ちを繰り返すこともザラにあったし、事実、現在に至るまでの僕のGPの最高成績は最初のGPで残した11-4のまま変わっていない。

リミテッドを中心に、MOCSやMOPTQなどオンラインのトーナメントにもできる限り参加するようになった。が、あと1勝が足りずSEに残れない日々が続いた。

 

そんな中、2019年にマジックの競技シーンにおける革命が起きる。

MTGアリーナの導入とMPLの設立だ。

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MOのような化石UIでない新たな対戦ツールの登場、世界トップクラスのプレイヤーたちによるリーグ戦などe-sports色を前面に打ち出した施策に一時は心を奪われたが、同時に不安もあった。

MTGAにおける主なフォーマットは僕が大の苦手とするスタンダードということ、また世界のトップ32人以外はプロとしての恩恵を受けづらいMPL制度はレベル制だった以前までのプロ制度と比べ、一介の競技プレイヤーには目指すべき目標が高すぎるという点だ。

捕らぬ狸の皮算用と言われればそれまでだが、GPで好成績を残しプロツアーの継続参戦を目指すのと、MPL入りを目指すのでは心持ちが全く変わってくる。

 

若干のモチベーション低下の中、GP予選落ちを繰り返し自分とトッププロ達との差を感じていたところに更なる追撃が訪れた。

それはプロツアーの名前をプレイヤーズツアーに変更し、規模を縮小するといったものだ。

今まで世界の予選突破者やプロが一堂に会し行われていたプロツアーがアメリカ、ヨーロッパ、アジアの三つの地域予選に分けられ、その上位入賞者でファイナルを行うとのことで、従来のプロツアーと予選の間にもう一つ地域予選が挟まったような形だ。

以前までなら妥当に思えていたGPの2敗フィニッシュやMOPTQの1人抜けといったPT参加までの道のりが途端に割に合わなく感じられ、非常に残念に感じたことを覚えている。

また、それに伴い全国の店舗で行われた予選もショップが少ない地元ではほとんど開催されず、それなのに都会の店舗では参加者が30人を切るところもザラだという。

ここにきて競技シーン全体がウィナーテイクオール(勝者総取り)に傾きつつあること、そして埋めようのない地域格差を感じさせられたことに、心が折れかけた。

 

しかし、悪い知らせばかりでもなかった。

新フォーマット、「パイオニアが制定されたのもこの時期だ。

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未開拓のフォーマットというものはいつでも新鮮に楽しめるもので、新しいおもちゃを与えられた子供のようにパイオニアを遊び続けた。

ほどなくして翌年2月のプレイヤーズツアー及び、同時開催されるGPのフォーマットがパイオニアであることも発表され、これなら目指す意味はあるかも、と思い始めた。

制定されたばかりのフォーマットをユーザーに調整してもらう意図があったのかは知らないが、同時期にMO上で毎日のようにパイオニアによるPTQ(別名:廃人達によるβテスト)も行われていたので、こちらもできる限り参加した。

 

相変わらず調整時間はあまり取れなかったが、その分プロの配信を観て勉強した。また、noteで戦略記事を書きだしたのもこの辺りだ。プレイ時間やマッチ数だけでなく、思考や言語化に力を入れたとも言える。

プレイヤーズツアーの権利は結局取れなかったものの、数か月間パイオニアを学び続け、黒単アグロを手に臨んだGP名古屋では構築GPで初めて初日を抜けることができた。二日目の成績は散々だったが、苦手だった構築を少し克服できたような気がしてモチベーションが少し回復した。

 

そして同時開催のプレイヤーズツアーで、世界のトッププロ達が戦っている姿を目の前で観れたことも大きな刺激になった。

発表を聞いた当初はGP二日目くらいの感じになるのかな、と思っていたプレイヤーズツアーだが全くの杞憂だった。

上位卓を見渡せば、少しカバレージを読んだことがあれば名前を知っているであろうトッププロばかり。蓋を開けてみれば、トップ8にはその中でも選りすぐりのレジェンド級のプレイヤー達の名前が並んでいた。

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これは紛れもなく、僕が憧れていた「プロツアー」だ。

八十岡翔太、行弘賢、石村信太朗…あの頃から今に至るまで何度も記事を読み、動画を観返し、目標としていたプレイヤー達が勝ち上がっていることに興奮したと同時に、自分もやはりこの舞台に立ちたい、と再認識した。
規模は変わってもプロツアーはプロツアーのままでいてくれた。どこまでも実力主義なこのゲームに感謝すると共に、再度PT権利を取ることに全力を捧げることにし、今に至る。

 

正直、今回初めてPTの権利を得られたのは様々なバカヅキが重なったからに過ぎない。

最近は構築に注力していた僕が再度リミテッドをプレイしたのは、MOPTQを0-2dropし消化不良になっていたところにたまたまリミテッドのプレリミナリイベントがあり、そこでも0-2してしまったのが悔しかったからだ。その時点ではこの環境のリミテッドを今更やること自体にほとんど意味は無く、完全に情の行動だ。

そもそもオンラインを主戦場にしている自分にとって、流行り病の影響で突然MOPTQの開催数が増えたことも運が良かったと言える。(これに関しては不謹慎だと捉える方もいるかもしれないが他意は全く無い。許してほしい)

もっと言えば、シールドのプールが弱かったら、決勝ドラフトの2‐2で《キオーラ、海神を打ち倒す》が流れてこなかったら、追加分のPTQがトップ2ではなく優勝者のみに権利を与えるシステムだったら、自分は今これを書いていない。

 

マジックの競技プレイを続けていく上で一番大事なのは、打席に立ち続けることだと感じる。

田舎住みでも、仕事で大会に出られなくても、コミュニティに所属していなくても、諦めずバットを振り続けていれば、必ずホームランを打つチャンスは訪れるということがこのブログで伝われば幸いだ。

 

先日、プレイヤーズツアー♯2の中止が正式に発表となった。

権利自体は次のプレイヤーズツアー♯3に繰り越せるらしいが、現状ではフォーマットも、そもそも無事に開催されるのかさえ分からない状態だ。

一寸先は闇だが、今は来るべき時に備え素振りを続けるしかない。当面はPTの継続参戦、及びPTFの権利獲得に向けて全力を注ぎたい。

ここしばらくは放心状態で中々時間をさけていなかったが、今後はTwich(https://www.twitch.tv/azatoyellow)での配信やnote(https://note.com/swd0801)の記事執筆などの活動にもより一層力を入れ、様々な理由で中々大会に出られないプレイヤーの助けになれればと思っている。

コメントやサポートなどで応援していただければ何より幸いだ。

 

ここまで僕の自分語りを読んでくれた人がもしいたらありがとう。

投稿までにしばらく時間が空いていることからもわかると思うが、PTQを抜けた勢いで書き殴ったものの寝落ちや仕事で中途半端にしか書けなかった部分と、後から付け足した部分が混在しているので見辛い文章になってしまったかもしれないがチラシの裏なので許してほしい。

というわけでまた、オンラインで。

【GP浪漫遊】決勝:サイトウマサトシ(石川)vs.アライリョウタロウ(名古屋)

by Tetsushi Sawada

突然だが、皆さんは「真龍」というデッキをご存知だろうか?

今から7年ほど前、覚醒編環境の最中、石川のある伝説的プレイヤーが残した青抜き4cのグッドスタッフデッキのことを、私たちは敬意を込めてそう呼んでいる。

 

『真龍』
『<a href="https://dmvault.ath.cx/deck1534665.html" target="_blank">真龍</a>』
2 x フェアリー・ライフ
3 x 青銅の鎧
2 x ハッスル・キャッスル
1 x 母なる紋章
2 x 解体人形ジェニー
1 x 龍神ヘヴィ
1 x インフェルノ・サイン
2 x 超次元ミカド・ホール
1 x 超次元バイス・ホール
2 x デーモン・ハンド
1 x 威牙の幻ハンゾウ
1 x 邪眼皇ロマノフI世
1 x 黙示賢者ソルハバキ
1 x 光牙忍ハヤブサマル
1 x 粛清者モーリッツ
2 x 魔光王機デ・バウラ伯
1 x 雷鳴の守護者ミスト・リエス
1 x 不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー
1 x バジュラズ・ソウル
2 x 爆獣ダキテー・ドラグーン
2 x 地獄スクラッパー
1 x アブドーラ・フレイム・ドラゴン
2 x 龍神メタル
2 x 無頼聖者スカイソード
2 x 鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス
1 x 龍仙ロマネスク
1 x 大地と永遠の神門
2 x 時空の喧嘩屋キル/巨人の覚醒者セツダン
1 x 時空の踊り子マティーニ舞姫の覚醒者ユリア・マティー
1 x 時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー
1 x 時空の凶兵ブラック・ガンヴィート/凶刀の覚醒者ダークネス・ガンヴィート
1 x 時空の賢者ランブル/恐気の覚醒者ランブル・レクター
1 x 時空の脅威スヴァ/神の覚醒者サイキック・スヴァ
1 x 時空の封殺ディアスZ/殲滅の覚醒者ディアボロスZ

環境にはドロマーハンデスや黒緑速攻、ネクラコントロールといったメタデッキが割拠していた中、突如としてDMvaultの大会で優勝を掻っ攫っていったそのデッキは、明らかに異彩を放っていた。

合計5枚しかない序盤のマナ加速、ピン差しが多く散らされたフィニッシャー、≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫ など今見ても独特過ぎるカードチョイス。

 

もしかすると、当時のプレイヤー達からは「運が良いヤツが勝ったんだろうな」くらいにしか思われていなかったかもしれない。

しかし、石川のプレイヤーが生み出したこの"無茶苦茶な"デッキが、全国の強豪が名を連ねるDMvaultにおいて爪痕を残したということ、それは。

確かに、私達を歓喜させたのだ。

 

 

 

そして時は流れ2018年。

年の瀬の深夜、石川県某所で「真龍」に憑りつかれた者たちにより、ひっそりと開催された大会があった。

それこそが「真龍」と48枚同じ構築による完全なミラーマッチのみで行われる『GP浪漫遊』である。

 

前置きが長くなってしまった。参加者8人、スイスラウンド7回戦という過酷な予選を切り抜け、決勝に駒を進めた二人をここに紹介しよう。

 

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  • プレイヤー紹介

 サイトウマサトシ(写真左手)は、地元石川で長年競技としてのデュエルマスターズに向き合ってきたベテランだ。DMというゲームへの愛と行動力で、まだ公式からサポートを受ける前の黎明期から各地のCSに遠征してきただけでなく、2017年にはDM認定ジャッジの資格も取得。近年では運営側に立つ機会も多くなった。

 

最近は家庭や仕事との両立が難しく大会にはあまり参加できていないらしいが、それでもDMGP3rdでのトップ64入賞や2016年の年末調整で古豪、カワタカズキと繰り広げた激闘【苦、諦 年末調整2016:サイトウ(石川) vs. カワタ(兵庫)】を見るに、未だその勝負勘は衰えていないようだ。

また、サイトウは殿堂ゼロからボルコン、レギュレーション「あの頃」に至るまで、様々なフォーマットを愛するプレイヤーとしても知られている。

得意のエターナル環境で、持ち前の勝負強さを発揮することができるか。

 

そして対するアライ(写真右手)もまた、キャリアという意味ではサイトウに負けていない。

オンライン発のプレイヤー("medahaya"という名前の方が通りが良いだろうか)である彼は公式大会での目立った実績こそないものの、類稀な才能を持ったデッキビルダーとしてDMvaultを中心に「ジョバンニフォーミュラ」や「ドロマーコラプスロック」、「緑単tグランシリスビート」等、数々の独創的なデッキで結果を残し、メタゲームにその名を刻み続けてきた。

そんなアライの真龍との出会いは、大学への進学を機に地元名古屋から単身石川へ拠点を移した際、週末に参加したデュエルロードで石川のコミュニティと交流したことがきっかけだった。

現在は就職の為再び名古屋に戻ったアライだが、在学中の4年間で出来た仲間達に会うため、定期的に石川に遊びに来ている。

そして今、目の前に座っているサイトウもその「仲間」の一人であり、最大の「ライバル」でもある。

 

サイトウとアライの因縁は、2015年の大晦日まで遡る。

その年の年末も石川にいたアライは、浪漫遊にてサイトウに年末調整を挑まれ、まんまと勝負を受けてしまった。そして、最終的には資産の半分ほどを持っていかれる大敗を喫することになってしまう。

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試合終了直後の2人。どこか清々しい様子にも見えるが、アライの精神的ダメージは計り知れないものだったであろう。

 

 

そして翌年9月に神戸で行われたDMGP3rdの予選最終戦、勝てばSE進出、負ければトーナメントから名前が消えるバブルマッチで2人は再び相見えた。

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結果は、サイトウの白黒ドラグナーがアライの赤黒デッドゾーンを打ち倒し、予選突破。

アライは思った。「また、サイトウに負けてしまうのか…」と。

 

そして、今日。運命の悪戯か、神の思し召しか。

因縁の地で、アライは再びサイトウに一矢報いる機会を得た。

優勝賞品のクオカード2000円分など、最早眼中に無い。あとはただ、己のプライドの為に勝利を目指すのみだ。

 

 

 

予選は深夜にまで及び、営業時間の都合で会場が急遽24時間営業のマクドナルドに変更されるハプニングもあったが、どうにか決勝を始める手筈は整った。

アライはミルクティーを、サイトウはシェイクを啜りながら機材の準備ができるまでしばし取り留めのない会話をしている。

 全ての準備が完了し、お互いがお互いのデッキを入念にシャッフルしている中、サイトウから「2本先取にしない?」と提案があった。

「ここまでやって、簡単に終わっちゃったらつまらないだろ?」とでも言いたげなサイトウに、アライは特に反論することもなく了承した。お互い、最後までこの勝負を楽しみたい気持ちは同じらしい。

アライ「負け先だよね?」

サイトウ「負け先じゃなくて負け腕相撲で!(?)

といつもの軽口を叩き合う2人だったが、シャッフルを終え、初手を確認すると一気に表情が変わる。

多くのギャラリーが固唾を飲んで見守る中、平成最後の大勝負が今、幕を開けた。

 

  • ゲーム1

ジャンケンに勝利したアライが先攻だが、タップインを処理しマナ基盤を揃えていくのみで動きが鈍い。しかしサイトウもそれを咎めることができず、初動はアライの5t≪ ハッスル・キャッスル≫となった。

 

放置すれば取り返しのつかないアドバンテージ差をつけられる置物を設置されたことで、サイトウは一度大きく深呼吸する。

しかしトップから待望の緑マナを引くと即マナチャージし、挨拶代わりとばかりにこちらも≪ ハッスル・キャッスル≫!

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 一歩も譲る気はない、そんな意思が伝わってくるようにサイトウは力強くターンエンドを宣言した。

だが先手の利があるアライは、冷静に≪無頼聖者スカイソード≫を展開し、盾とマナ両方のリソースを伸ばしていく。

この隙に脅威を展開したいサイトウは、≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫を召喚するが…ここにアライの≪超次元ミカド・ホール≫が刺さる!f:id:bwd_shine:20190102113042j:image

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≪時空の賢者ランブル≫が着地したことで、逆に脅威への対処を迫られることになってしまったサイトウ。

ドローし、今一度手札を見つめ直すが…このターンは≪龍神ヘヴィ≫と≪無頼聖者スカイソード≫を相打つのみとなる。

アライは≪時空の賢者ランブル≫の効果で≪青銅の鎧≫を宣言。これは当然外すものの、一番期待値が高い唯一の3枚積みカードを宣言する定石通りのプレイだ。

ここで次のターンの覚醒を確定させたいアライは、≪解体人形ジェニー≫を≪母なる紋章≫で再利用するビッグプレイ!f:id:bwd_shine:20190102113238j:imagef:id:bwd_shine:20190102113241j:imageこれにはサイトウからも思わず溜息が漏れる。

 

サイトウの手札からは≪デーモン・ハンド≫と≪大地と永遠の神門≫が抜かれ、≪龍神メタル≫と≪鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス≫が残った。

何としても除去を引きたいサイトウ、だが無情にもトップは≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫と貧弱なもの。これは即マナに埋め、≪龍神メタル≫を展開するのみに終わる。

 

無事ターンが帰ってきたアライは先ほど確認していた≪インフェルノ・サイン≫を宣言し、≪時空の賢者ランブル≫を≪恐気の覚醒者ランブル・レクター≫に覚醒させる。f:id:bwd_shine:20190102113505j:image

≪鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス≫のスレイヤー効果すら打ち消す悪魔を降臨させたアライは、ダメ押しの≪不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー≫を力強く叩きつける!f:id:bwd_shine:20190102113529j:image

最早恐れるものはないとばかりに≪恐気の覚醒者ランブル・レクター≫をレッドゾーンに送り込み出すと、2種の除去耐性持ちクリーチャーがサイトウを仕留めるのにそう時間はかからなかった。

 

アライ 1-0 サイトウ

 

あまりに圧倒的な負け方に、思わず「ブースト無かったらそりゃ握手なんだよな〜」とごちるサイトウ。

確かに48枚完全に同じミラーマッチにおいて、マナ加速や≪解体人形ジェニー≫が無い手札では先手後手の差を埋めづらいことは事実だ。

 

しかし、アライ側もそこに甘えることなく5t目に≪超次元ミカド・ホール≫を撃たず温存したプレイが光ったし、ハンデスのタイミングもほぼ完璧と言えるものだった。

もし手順が一つでも違えば、サイトウの≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫が生き残り、ゲームはまた違ったものになっていたことだろう。

 

順当に1ゲーム目を先取したアライだが、まだまだ油断はできない。

何せ、相手は2016年の年末調整でライフ1からの大逆転勝利を見せた男だ。勝負が決まるその時まで、一瞬も気を緩められないと言える。

そして、先ほどまで「引き強すぎるよ〜」と愚痴っていたサイトウもやはりというべきか、既に次のゲームを見据え気を引き締め直していた。

 

  • ゲーム2

サイトウの「負け先頂きます」の言葉でゲーム2が始まった。

初手を見たサイトウは思わず苦笑するが、その笑みが何を意味しているのかまだ分からないアライは、あくまでポーカーフェイスを貫く。

 

待望の先手を貰ったものの、3t目まで動きがないサイトウ。それを尻目にアライはタップインを処理してから3t目に≪フェアリー・ライフ≫を唱え後手分のテンポ差を埋める。

しかしサイトウもこれを黙って見ているわけにはいかない。

「握手拒否!」と呟きながら≪解体人形ジェニー≫を勢いよくプレイしたサイトウ。見えたハンドは≪ ハッスル・キャッスル≫、≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫、≪デーモン・ハンド≫、≪アブドーラ・フレイム・ドラゴン≫と潤沢なもの。

特に2種の置きドロソのどちらかが確実に通ってしまうのが痛く、またもアドバンテージ勝負で負ける展開になるか…と思われた矢先、サイトウは意外な決断を下す。

サイトウ「次5(マナ)やね?」

アライ「うん」

サイトウ「≪デーモン・ハンド≫で」

 

『除去できる可能性がある≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫は兎も角、≪ ハッスル・キャッスル≫を放置?』見ているギャラリー達の頭にも疑問符が浮かぶ。

そしてそれは対面しているアライにとっても同じだ。何かあるのか…?と勘繰りつつも、結局は≪ ハッスル・キャッスル≫を設置して先ほどと同じアドバンテージ勝負を挑む。

 

が、次のサイトウの行動で疑問符が納得に変わる。

5マナを倒し勢いよく≪バジュラズ・ソウル≫をジェネレート!

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手札の量で勝てないなら、手札を使わせないうちに殴り勝ってしまえばいい。

今度はこっちが先手の利を活かす番だとばかりに急戦を仕掛ける。

一転して追い詰められたアライ。だが、トップは先ほど捨てられたばかりの≪デーモン・ハンド≫!

しかし、ここで≪解体人形ジェニー≫ごときに貴重な確定除去を使っていては勝てる試合も勝てない、というのも事実だ。小考の末、アライは≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫を召喚してターンを返す。

 

今がチャンスと言わんばかりにサイトウはほぼノータイムで≪バジュラズ・ソウル≫を≪解体人形ジェニー≫にクロスさせ、緑マナを縛りつつ攻撃。アライは祈るように盾を1枚ずつ手札に加えていく(主催者の意向で旧ルール準拠だ。)が…トリガーは捲れず。

 

とりあえずドローしてみるアライだが、マナがチャージ込みで5しかないことに加えて≪バジュラズ・ソウル≫への直接的な解答が手札に無く、≪青銅の鎧≫で被害を最小限に抑えることが精一杯という苦しい状況だ。これにはじっと腕を組んで盤面を見つめていたサイトウも少しホッとし、すぐさま≪超次元ミカド・ホール≫を唱え更なる脅威を展開していく。

 

≪バジュラズ・ソウル≫をクロスした≪解体人形ジェニー≫の2度目のアタック。最早アライのマナゾーンには赤マナしか残っておらず、≪鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス≫による反撃も許されない上、トリガーも無い。

龍神ヘヴィ≫で盤面を減らし抵抗するものの、サイトウが残った≪時空の賢者ランブル≫に再度≪バジュラズ・ソウル≫をクロスさせると、アライはドローを見ずに投了した。

 

アライ 1-1 サイトウ

 

予選中、サイトウはこんなことを口にしていた。

「真龍同型は殴れる時に殴るが板。」

曰く、≪龍神メタル≫や超次元クリーチャーなど、Wブレイカー持ちが多く最終的に殴り合いになりやすいこの同型においては序盤のうちに盾を偶数にしておくことが勝利への近道だと言うのだ。

 

サイトウはその言葉通り、準決勝では5t目に出した≪時空の賢者ランブル≫でおもむろにアタックを仕掛け、最後は≪鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス≫を絡めた奇襲でぴったり殴りきり勝利していた。

同型においてはクロスするラグや盾を殴るリスクが大きいと思われていた≪バジュラズ・ソウル≫のポテンシャルをここまで引き出せたのも、サイトウの経験とプランニングによるものかもしれない。

往年の『バジュラゲー』を彷彿とさせる華麗な攻めで何とかスコアをイーブンに戻した。

 

「3枚の中に≪超次元ミカド・ホール≫かトリガーあれば返せたんだけどな」
「マジで≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫でもなんでも良かったからね。かなり受けは広かったんだけど、まあしょうがない」

と語るのはアライだ。

サイトウのプレイを『一貫して不定』と評するアライも、この奇襲戦法には対応しきれず、悔しさを滲ませる。

だが、泣いても笑っても次でどちらかが勝者、どちらかが敗者になることは決まっている。

今は後者にならないために、最善を尽くすだけだ。

 

  • ゲーム3

再度、アライの先攻。2t目にして「先手か…微妙だな…」と呟きながら悩み始めるが、小考の後「…いいか、終わり!」と思い切った様子で≪光牙忍ハヤブサマル≫をチャージしターンエンドを宣言する。

 

続くターンも、マナ加速は引けているものの緑マナが無い様子のアライは、諦めて≪フェアリー・ライフ≫をチャージしエンド。対するサイトウはしっかり≪青銅の鎧≫を引き込み、先手後手を入れ替える構えだ。

4t目になっても動きがない上、黒マナが見えていないアライ。これを好機と見たサイトウは、深呼吸の後、≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫を盤面に送り出す。f:id:bwd_shine:20190102132318j:image

しかし、アライは黒マナを手札に隠し持っていた!≪超次元バイス・ホール≫をチャージし、≪超次元ミカド・ホール≫を唱え≪時空の賢者ランブル≫を着地させる!f:id:bwd_shine:20190102132515j:image

1ゲーム目のデジャヴかのような展開に、サイトウの表情が歪む。

そして手札に7マナのカードが溜まっている様子のサイトウは6マナで何もできず、力なくターンエンドを宣言する他ない。

 

1ゲーム目と同じく、一貫して≪青銅の鎧≫を宣言するアライだが、デッキは応えず。しかし、次のターンには確実に裏返るというプレッシャーは依然としてサイトウに重くのしかかる。

ここでアライはお返しとばかりに手札のタップインを処理しつつ、≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫を展開。対処しなければならない脅威が2体に増えたサイトウは深いため息をつく。

 

サイトウは≪時空の賢者ランブル≫こそ≪地獄スクラッパー≫で退場させるものの、一方的に≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫でドローされる心中は穏やかではないだろう。

アライはここでも冷静に手札をキープしつつの≪無頼聖者スカイソード≫でじわじわとアドバンテージ差を広げていく。

だがここでサイトウはアライの≪雷鳴の守護者ミスト・リエス≫に対し≪超次元ミカド・ホール≫から≪時空の賢者ランブル≫!f:id:bwd_shine:20190102133605j:image

 

お互いマウントを取り合うシーソーゲームから一刻も早く抜け出したいアライ。手札をじっと見つめ、プランを練った末に出した答えは…。

7マナから切り札、≪邪眼皇ロマノフI世≫!f:id:bwd_shine:20190102134054j:image

対処手段が非常に限られるフィニッシャーの登場に、サイトウも身を乗り出す。

ここでアライは盾を確認しつつ、≪大地と永遠の神門≫や≪インフェルノ・サイン≫といったリアニメイト呪文を有効牌に変えるべく、≪龍神ヘヴィ≫を墓地に落とす。

ターンが返ってきたサイトウ。≪時空の賢者ランブル≫の効果で≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫を宣言するが…一発覚醒とはいかず、これにはアライも一安心。

サイトウは長考の末、≪超次元バイス・ホール≫を撃ち込む。アライの手札は≪デーモン・ハンド≫、≪無頼聖者スカイソード≫、≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫。

≪デーモン・ハンド≫は落とせたものの、≪邪眼皇ロマノフI世≫で再利用されてしまうことを分かっているサイトウは「そうなるよな…」とぼやきつつ、逆転への希望を繋ぐべく≪時空の封殺ディアスZ≫を戦場に送り込んだ。f:id:bwd_shine:20190102135517j:image

 

無事≪邪眼皇ロマノフI世≫をコントロールした状態でターンを迎えることができたアライは、一度手札の≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫をマナに埋めかけるが、再度手札に戻し小考。その結果、相手の≪時空の封殺ディアスZ≫の返霊能力のことを考え手札にキープした。

そして、今引きの≪超次元ミカド・ホール≫を撃ち込みまたも≪時空の賢者ランブル≫を送り出す!f:id:bwd_shine:20190102140257j:image

相手の≪時空の賢者ランブル≫は≪邪眼皇ロマノフI世≫で殴りつつの≪デーモン・ハンド≫で処理し、徐々に戦況がアライに傾いてきた。

 

しかし、サイトウもただでは終わらない。割られた2枚の盾から手に入れた≪ 粛清者モーリッツ≫で≪時空の賢者ランブル≫をタップしつつ、≪解体人形ジェニー≫でアライの≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫を奪う。

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そして、≪時空の封殺ディアスZ≫でアライの≪時空の賢者ランブル≫にアタックしつつ、殲滅返霊を発動。アライの墓地の≪超次元ミカド・ホール≫ごと、リソースを奪いにかかる。

 

ここでアライ、サイトウの手札が残り1枚である事を確認しつつ、長考に入る。盤面の≪無頼聖者スカイソード≫は確定として、あともう1枚何をボトムに送るか。

手なりなら手札の≪無頼聖者スカイソード≫を捨てて、≪時空の封殺ディアスZ≫と≪時空の賢者ランブル≫を相打ってもおかしくない場面だが、流石、アライは土壇場でも冷静だった。

次のターンに≪邪眼皇ロマノフI世≫で≪時空の封殺ディアスZ≫を殴り返せることに気付いたアライは、盤面の≪無頼聖者スカイソード≫と殴られている≪時空の賢者ランブル≫を選択した。

 

アライは、予定通り手札の≪無頼聖者スカイソード≫をプレイ、≪邪眼皇ロマノフI世≫で≪時空の封殺ディアスZ≫を殴り返しターンを終了。

ここまで完璧なプレイを見せてきたアライだったが、サイトウが≪ 魔光王機デ・バウラ伯≫をトップしたことで息を吹き返す。f:id:bwd_shine:20190102142318j:image

既に10マナ溜まっているサイトウは、墓地から≪超次元バイス・ホール≫を拾いそのままキャスト。アライの手札の≪フェアリー・ライフ≫を落としつつの≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫で遂に≪邪眼皇ロマノフI世≫を討ち取ることに成功する!f:id:bwd_shine:20190102144855j:image

ついでのように≪ 粛清者モーリッツ≫の効果も誘発し、いつの間にかアライの盤面は空だ。

≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫の覚醒も見えている以上、実質的なロックが掛かっているアライは静かにドローゴー。

 

ここからは完全なトップ勝負。サイトウが引いたのは…魂の≪バジュラズ・ソウル≫!f:id:bwd_shine:20190102143005j:image

10マナを捻り、そのまま≪ 粛清者モーリッツ≫にクロスしてアタック。アライの盾は2体の≪無頼聖者スカイソード≫によりまだ7枚もあるが、ここからマナを縛りつつ2点ずつ刻んでいけばいずれ逆転の芽は摘まれるだろうという算段だ。

とはいえアライとしてもマナが充分にある状態で殴られる分にはまだ希望がある。この盾2枚から有効牌を引けさえすれば。祈るように捲ると、そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

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起死回生の≪インフェルノ・サイン≫!!

 

「マジかぁ〜…」と落胆するサイトウ。そしてアライ自身も、予想の斜め上をいくデッキからの回答に驚きを隠せない様子だ。墓地から≪邪眼皇ロマノフI世≫を釣り上げつつ山札から≪超次元ミカド・ホール≫を落とし、反撃の狼煙を上げる。

このチャンスを是が非でもモノにしたいアライ。まずはターン開始のドローを済ませ、じっくりと思考を巡らせる。

 

ここで盤面を整理しよう。アライのマナは6だが先ほどの≪バジュラズ・ソウル≫で黒マナが無い状態。そして手札には≪超次元ミカド・ホール≫、≪青銅の鎧≫、≪ ハッスル・キャッスル≫の3枚。

そしてサイトウの盤面には≪バジュラズ・ソウル≫をクロスした≪ 粛清者モーリッツ≫、≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫、≪ 魔光王機デ・バウラ伯≫、≪解体人形ジェニー≫。

 

明らかにここが分岐点となる。

何度も手札を裏向きにマナに置いては戻しを繰り返したアライは、意を決し≪ ハッスル・キャッスル≫をチャージし≪青銅の鎧≫でアンタップインの黒マナが落ちることに期待するプレイを取ることにした。

 

捲れたデッキトップは…何と≪解体人形ジェニー≫!

土壇場でデッキが応えてくれたことに安堵するアライ。そのまま手札から≪超次元ミカド・ホール≫をキャストし、相手の≪解体人形ジェニー≫を除去。更に≪超次元ミカド・ホール≫を≪邪眼皇ロマノフI世≫で再利用しつつ≪ 粛清者モーリッツ≫を殴り返す。

一挙に≪時空の賢者ランブル≫と≪時空の封殺ディアスZ≫が並び、気付けば盤面は圧倒的なものに。f:id:bwd_shine:20190102150714j:imagef:id:bwd_shine:20190102150720j:image

 

しかしこれでアライの手札がゼロになったことで、≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫が覚醒。f:id:bwd_shine:20190102165355j:imageまだサイトウにも僅かだがチャンスは残されている。

両手を合わせ、文字通り祈るようにドロー…引いたのは≪龍神ヘヴィ≫。

とりあえずキャストし効果を使ってみるものの、御役御免とばかりにタップしている≪邪眼皇ロマノフI世≫を破壊され、殴り返す先が無くなってしまう。

龍神ヘヴィ≫の効果によるドローもこの盤面を打開できるものではなく…ターン終了を宣言するサイトウ。

 

ターン開始時にアライは≪邪眼皇ロマノフI世≫の効果によってボトムに送られた≪超次元ミカド・ホール≫を宣言し、≪恐気の覚醒者ランブル・レクター≫に裏返す。

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「やめてくれ〜…俺はまだ生きたいんや〜…」と懇願するサイトウ。

既にほぼ盤石な盤面だが、この長かったゲームに終止符を打つべく、遅れてきたもう1枚の切り札が駆けつけた。

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サイトウ「いやそれはあかんやろ!!!」

 

あまりにも無慈悲なトップデックに、ギャラリーからも思わず歓声が上がる。

しかしアライはあくまで冷静に、≪時空の封殺ディアスZ≫でリソースを刈り取りつつのアタックで更にサイトウを追い詰める。

手札の不要牌と≪バジュラズ・ソウル≫をボトムに送ったサイトウは、トリガーから≪爆獣ダキテー・ドラグーン≫を捲るものの、根本的な解決にはなっていない。

 

サイトウは最後のあがきとして≪恐気の覚醒者ランブル・レクター≫の攻撃を止めた≪ 魔光王機デ・バウラ伯≫を≪インフェルノ・サイン≫でリアニメイトしつつ≪不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー≫のSFを無理矢理割ることに成功するが、ターンが帰ってきたアライからはダメ押しの≪威牙の幻ハンゾウ≫。

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頼みの綱であった≪ 魔光王機デ・バウラ伯≫も除去されてしまい、この盤面を返す手段がデッキに無いことを誰よりも知っているサイトウは、そのまま右手を差し出した。

 

アライ 2-1 サイトウ

 

試合後、アライは「≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫が裏返ったところ、手拍子だったな…。」と呟いた。

それを聞いていた、今回のGPの主催者でありアライの師でもあるカワタも「俺もあそこはどうかと思った。ていうか、普通に≪ ハッスル・キャッスル≫貼ってゆっくりすればよくなかった?」と意見を投げかける。

サイトウの場に≪バジュラズ・ソウル≫がある状況だったので一概には言えないところだが、それを受けたアライはひとしきり考えを述べた後、「まあ、結局上が強かったですね」と結論付け、笑う。

 

そして、負けたサイトウも調整仲間であるイシオカと要所のプレイについて延々議論を重ねていた。が、感想戦を終えると、おもむろに「フリーしよ、フリー」と対面のアライに対戦を求め始めた。

この時既に深夜2時。何となく、筆者のようなプレイヤーでも、彼らの強さの秘訣が分かったような気がした。

 

 

こうして、午後10時から深夜2時過ぎにまで及ぶ長く過酷なトーナメントが終わった。

しかし、「真龍」というフォーマットはこれで終わりではない。今回は試験的に定員を8名としたが、次回開催があるならばもっと規模を大きくしたいとの声も多く上がった。

老害」「ゲートボール」などと揶揄されることも少なくないが、超次元環境を生きた"あの頃"のプレイヤーなら絶対に楽しめるフォーマットだということは強く主張しておきたい。

 

最後に、主催のカワタ選手と参加者全員分の「真龍」を用意してくれたアライ選手、そして参加してくれた全てのプレイヤー達に最大限の感謝と敬意を表し、筆を置こうと思う。

次回がいつになるか、私にも分からない。だが、この伝説の一戦が私達の記憶にある限り、このフォーマットは生き続けると私は信じている。

 

 

 

 

 

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GP浪漫遊を優勝し、初代龍王の栄冠を手にしたのはアライリョウタロウ(名古屋)!おめでとう!

M19リミテッド調整録&GP千葉2018参加レポート

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こちらではお久しぶりです。色々書きたいネタはあったものの、私生活で労働の時間が増えたり車の免許を取ったりでなかなか纏まった時間が取れず、かなりの間ブログを放置していました。申し訳ありません。(黒歴史になったわけではないです)

さて、約9ヶ月ぶりの更新はプリパラクリスマスでもアイカツ武道館でもi☆RisツアーでもDMGP6thでもなく、先日開催されたGP千葉の調整録&参加レポートになります。

国内では約1年ぶりの個人戦リミテッドGPということで個人的に気合も入っていたため、思考の言語化の練習も兼ねて書こうと思った次第です。練習段階の話も含め非常に長い内容になりますが、よろしくお願いします。

 

0.ファーストインプレッション

今回のGPのフォーマットは基本セット2019発売1週間後のリミテッド。新しいセットが発売された直後の大会全般に言えることですが、与えられた情報を早い段階から整理しておくことがアドバンテージになります。構築フォーマットのように固定化されたリストが無く、カードの組み合わせが無限に存在するリミテッドでは特にその傾向が強いと言えるでしょう。

 

ということで今回はフルスポイラーが出た段階で、1枚ずつカードを評価し環境を予想する作業を取り入れました。

一通りのコンバットトリックを頭に入れつつ考えたこの時点での印象は、

  • 白や赤のコモンに攻撃的なカードが多く、序盤から攻めるアグロ戦略が強そう
  • コモンに2色土地やマナリスといったサポートがあるので多色化は比較的簡単そう
  • 一部のレアに一枚でゲームを決めるレベルのボムが存在するので、普段はサイドからなディッチャや飛行除去などをメインから入れても良さそう
  • 白黒のライフゲイン、赤黒のサクリファイスなど色ごとのシナジーはそこそこあるものの、基本的には単体のカードの強さを優先した方が良さそう

といった感じでした。

 

1.環境理解(シールド編)

フルスポイラーで環境をある程度予想した後は、実戦で答え合わせ。発売1週間前にシールドをプレイすることができるプレリリースイベントに参加しました。普段は1回出れば良い方なプレリですが、GP前ということもあり合計で3回ほど参戦。結果は2-1×2、1-2とあまり良いとは言えないものでしたが、学びは多かったです。

 

まず、環境の速度が想像より2段階ほど遅い。2マナ域にそこそこ優秀な殴り手はいるものの、それ以上にタフネスが高い生物が多く、地上はすぐに膠着してしまい、消耗戦の末にシステムか飛行が残った方が勝つ基本セットらしい環境という印象。

また、多色化は簡単そうと思っていたものの色の合う土地がプールにないことも多く、無理なタッチをした結果キャストできない札を抱え続け負けることも多かった。

しかし、ディッチャや飛行除去をメインから入れる戦略は正解。ディッチャはオーラ除去や装備品、飛行除去は赤のコモンにドラゴンがいることもあり完全に腐ることはほぼなく、どちらもプールにあれば1枚ずつはメインに採用していいと思えるほど。

そして色ごとのシナジーに関してもマルチカラーのアンコモンがある時だけ意識する程度で、基本的には単体のカード性能で色を選んだ方が間違いは無さそうでした。

 

想像していた環境と現実の環境にズレを感じたため、後はそれをひたすら矯正していく作業。ちょうどプレリと同タイミングでMagicOnlineの先行リリースがあったので時間が余ればひたすらシールドリーグに潜っていました。自分のように特定のコミュニティに所属せず、仕事柄日中に時間を取りづらいプレイヤーにとって、MOは必須ツールと言えます。

PTQPやMOPTQ含め、15回ほどシールドをやって色の評価や、ある程度の方針は見えてきました。

まず色ごとの雑感。

  • 赤→癖のあるカードが多く、地上が止まりやすい環境の性質と相まって、生物(具体的には威迫やトランプルなどの回避能力持ち)やレアが揃っていないと優先度は低い。火力だけタッチしたり、サイド後先手のアグロプランではよく使う。
  • 緑→生物のサイズが他より一回り大きく、コモンの6マナ6/6トランプルですらフィニッシャーになりえる。地上で攻めるなら緑。楽園の贈り物(土地に貼るオーラ)が複数あれば多色化も検討する。
  • 白→ペガサスや4/3/3鹿、5/3/3天使が存在するため基本的には先手を取って殴るビートダウンカラー。前述のクリーチャー陣がどれだけ揃っているかが選択基準。
  • 青→ドロー、カウンター、飛行、最低限の除去がコモンに揃っていて殴って良しコントロールして良しの万能カラー。
  • 黒→青と同じく確定除去やハンデスでボムに対抗しやすく使い勝手が良いが、アーキタイプを選ぶカードもそこそこある印象。サブカラーとして使うことが多い。

シールド的には青と黒が手軽にアドバンテージを取れ相手のボムにも対処しやすいということで組み合わせやすく、次点で生物の質が良い緑をやりたいなというくらい。

 

そして構築する際のポイントは主にこの3点。

  • 2/1の地上クリーチャーをデッキに入れない
  • 安定性のため基本的に2色+αで纏め、無理なタッチはしない
  • 除去より生物の質で色を決める

 一つずつ解説していきます。

>2/1の地上クリーチャーをデッキに入れない

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 各色のコモンの2マナ域に1/3の壁、もしくは1/1で追加効果を持つ生物が存在するため地上のタフネス1、特に2/1というサイズは3t目から既に殴れなくなることもしばしば。

黒にcip1点のガイコツがいることもあり、できる限りサイドに落としておく方が無難と言えます。(ただし白のペガサスが複数いる場合など例外もあります)

 

>安定性のため基本的に2色+αで纏め、無理なタッチはしない

当初は色足し得の多色環境かとさえ思っていたのですが、全体的にカードパワーが低い(事故を取り返せるカードが少ない)ため色事故や2色土地のタップインで1tパスする動きは致命傷になり得ます。

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また、強力な効果を持ったカードはだいたいダブルシンボル以上なため2色でも頻繁に色事故が起こるなとも感じました。中途半端なカードをタッチするよりは構築段階から事故を減らすことを心がけた方が良いでしょう。

 

>除去より生物の質で色を決める

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そもそも環境の除去が全体的に重くて弱いため、除去だけが豊富なデッキを組んでも大体勝ちきれません。

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一方的に殴れるサイズや回避能力を持った生物が揃っている色をメインカラーに選び、除去は最低限で軽いコンバットトリックを優先した方が良いイメージです。

 

この他にも先手後手どちらを選ぶかや、サイドの色変えなども書こうと思いましたが、この環境に限った話でもないため割愛します。

 

2.環境理解(ドラフト編)

本戦1日目のフォーマットはシールドですが、2日目はドラフト。上位入賞を目指す上で避けては通れない道なので、並行してドラフトもMO上でプレイしていました。

ゲームスピードが遅めで後手を選ぶことも肯定されるシールドとは全く違い、お互い2マナから生物を展開しダメージレースを仕掛け合うかなりの高速環境という印象で、スポイラーを見た時点での予想はある意味正解だったのかもしれません。最初はシールドとのゲーム感の違いに慣れるのに時間がかかりました。

 

10回ほどプレイした結果、3-0はそこそこできるものの同宅のプレイヤーと当たることがないMOリーグ特有の再現性の低いデッキも多く、不安を抱えたままの状態。

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カットがないリーグじゃなきゃ絶対組めないレア満載赤黒!

 

しかし、その中でも失敗ピックかと思っていたのに3-0できた赤白と赤青という色の組み合わせには可能性を感じました。

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安くて強い赤白!

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噛み合いまくって奇跡的に3-0した赤青!

赤のアグロ向けクリーチャーをペガサスや鹿、全体強化などでバックアップする赤白と、青の飛行クリーチャーを軽い除去やカウンターでサポートする赤青。どちらもコンセプトがしっかりしていてコモン以下のカードで組めるため、ある程度の色被りも許容でき再現性が高いアーキタイプという好印象。

特に赤青はスペルシナジーで固めてコントロール気味にして良し、青のアーティファクトシナジーで固めて良しと、どう転んでもそこそこのデッキになる裏目が少ないアーキタイプというイメージ。

 

反面、緑絡みのミッドレンジは数回試したもののイマイチ勝ちきれず。

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シールドでは頼りになるファッティな6/6トランプルもドラフトでは重く、優先度がかなり下がりそう。マナサポートが大量に取れた場合の緑多色や白緑のオーラアグロは可能性がありそうでしたが、あまり完成形が想像できないまま練習は終了。

この時点では赤、青、白のうちどれかをやりたいなあと思いつつ、いよいよ千葉に向かいます。

 

3.GP1日目

木曜の労働終了後、すぐさま夜行バスで東京へ。いつもGP遠征などでお世話になっているナダルさんと合流し、幕張まで向かいます。

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朝9時ごろに幕張着。一足先に会場に来ていたnonさん(今回GP初参加)とも合流し開場までダラダラ。

今回朝イチに会場に来た理由は、ラストチャンストライアルに出るため。

本戦と同じ流れでデッキ登録をし、シングルエリミネーションで4勝すると2byeが獲得できるので練習にはもってこいのトーナメント。期待に胸を膨らませながら参加したのですが…結果は一没。

悠長な再構築が入った綺麗な青白に土地事故もあり完敗。デッキ登録の際に対面の人がボーラス+アジャニと引いてたこともありいきなりテンションダウン。

 

モチベーションを保つためにすぐさま12時からの部も参加しましたが、こちらも2没。

1戦目でまたも悠長な再構築に加えテゼレットや弱者の師まで入ったバケモンデッキにギリギリ勝利できたところまでは良かったのですが、続く白黒ミラーでお互い0/3のドレイン君と2/4のライフゲインするたび飛行トークンが出るマルチが並ぶ長いゲームの末に相手が先に5マナ天使を引き盤面が崩壊し負け。

1戦目でかなり時間を使ってしまったのもあるのですが、サイド後のゲームもかなり雑になってしまい見事に咎められてしまいました。

この時点で軽いティルト状態に陥ってるなと感じたので今日のMTGは終了。

なお朝イチの部に参加したナダルさんは除去、カウンター、フィニッシャーが揃った理想的な青黒コントロールで4-0して2bye獲得。流石。(1週間前は均等ド3色に何のシナジーもない1/1/2飛行入れてた人が成長したなあ…)

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ちなみに今回のホテル。会場から5分かからない距離でサービスもしっかりしてて最高でした。明日も早い&バスであまり寝られなかったので11時ごろにはもう就寝。

 

4.GP2日目(本戦)

いよいよ待ちに待った本戦。PWやエルダードラゴンなんて贅沢言わないからコモンアンコモンが強いプール引かせてくれ〜と願いながら席に着きます。

今回から、以前までの対面のプレイヤーとプールを交換してリストを登録するシステムではなく、予め運営が登録しておいたリストから構築するシステムになっていてびっくり。これも主催がチャネルに変わった影響でしょうか。

 

というわけで組んだデッキはこちら。プール全体の写真は撮り忘れましたすみません…(土地構成は島9沼8)

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最初に骨ドラゴンとレア装備を見た時はテンションが上がったものの、よく見ると確定除去もカウンターもなく長いゲームはできなさそうな微妙プールから一番中途半端な青黒を組んでしまいました…。

赤青黒の3色が同じくらいの強さでメインデッキを赤青、青黒、赤黒のどれにするかで悩んでしまいデッキ登録がギリギリになった結果、不要なカードが入りまくっています。

ゾンビが殆どいないのにロードを入れてたり黒のダブルシンボルが大量にあるのに沼9じゃない明確な構築ミスはさておき、壁と4/2威迫が共存してたり冷静に無茶苦茶。

土地は5枚あるものの黒黒が一生出ず負けたり、そもそもレア装備を4マッチ通して一回も引かない不運も重なり、1-3ドロップという結果に…。

 

ドロップした後ナダルさんにプールを見てもらうと、実は青でも赤でもなく黒緑が生物の質的に一番マシだったという結論になり後悔。

この後時間が余ったのでアンリミ予選に出るも、プールはそこそこ強かったけど色々下手過ぎて2-2(雑な感想)(1回はbye)

同行した二人も初日落ちで養分。明日のPTQに全てを賭けるつもりで就寝。

 

5.GP3日目(PTQ)

日曜のGPは本戦と並行して様々なサイドイベントが行われていますがこのPTQは一回でも負ければほぼ予選抜けの目がなくなるという厳しい条件はあるものの、誰でも参加できて優勝すれば一発でプロツアーの権利を獲得できる非常に分かりやすいトーナメント。ある意味プロツアーへの一番の近道と言えるイベントです。

 

デッキ登録開始は朝8時からというハードスケジュール。本戦落ちをケアしてしっかり事前予約していた僕は眠い目をこすりながら会場に向かいます。

席に着きパック開封。2日間で下振れまくってるから流石にPWくらい引けるやろ〜とレアを見るとそこには…

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アンプレの山!

1/4と風景の変容は論外だしゾンビも白のカードもほぼないプールなのでロードもラスも使えず、実質レア2枚。悲しい。

またも時間ギリギリまで構築に悩み、組んだデッキがこちら。

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生物がマシだった2色からかき集めたクソビートといった感じで、まあ予選抜けは無理だろうな…というデッキ。赤のシンボルが濃いのでギガントサウルスは流石に使えず。

初戦からいきなり土地1ストップ×2で負ける不運もあり、結果は2-4。賞品も貰えず虚無(^_^)

終わった後プールを見直すと、カウンターや飛行クリーチャーが数枚ある青の方が相手のボムに対処できてまだ数勝はできたかなという感想。

その後暇になってしまったので8人ドラフトに出るも一瞬で一没。本当に何をやってもダメな3日間でした…。

夜行バスの時間までアンリミロチェスターや決勝ドラフトを観戦したり、サイン会に並んだりして今回のGPは終了。

 

6.今回の反省点

3日間通してここまで負け散らかしたのは流石に初めての経験。そこで、自分なりに考えた反省点はこの2点です。

 

MOとリアルの違いに慣れていなさすぎた

色ごとのクリーチャーの枚数などがソートできるMOとは違い、リアルでは同じ作業を自分の手で行わなければいけません。(当たり前ですが)

練習時間をほぼMOに費やしていた僕はその作業に慣れていなかったせいで毎回構築時間がギリギリになってしまい、結果として一枚一枚のカードやメインカラーの選択を間違えてしまうことが多かったです。

また、MOでは余計な情報が入ってこないため盤面の情報が整理しやすいのですが、リアルでは相手の表情や仕草なども判断材料になる場合があります。

自分はその辺りの勝負勘が弱く、普段なら絶対にしないようなコンバットをしてしまい、冷静にプレイできていれば勝てていただろう試合に競り負けてしまうこともしばしば。

大会自体が少ない田舎に住んでいるため仕方ないことではあるのですが(練習環境を変えることも検討しています)、もっとリアルでのプレイに慣れておかないとダメだなと感じました。

・シールドのメタの変化についていけていなかった。

MO上でドラフトが導入されて以降、これまで多かったアドバンテージ重視の低速デッキと当たることが減り、代わりに序盤から殴るビートダウンデッキが増えていると感じていました。

これはドラフトを経験したことでビートダウンの完成形を知り、それをシールドでも試そうと考えるプレイヤーが増えたからだと思います。

 

今回の敗因はその環境の変化についていけなかったこと。

M19環境は攻めるカードが弱く受ける側が有利な環境だと思っていましたが、実際は逆。受ける側のカードも同様に弱いため、攻める側が装備品やコンバットトリックなどの一工夫を加えれば簡単に受けが崩壊してしまいます。

遅いデッキが増えれば速いデッキが強くなる。リミテッドにもメタは存在するということを改めて認識しました。

 

7.終わりに

というわけで見るも無惨な結果に終わってしまったGP千葉でしたが、逆に今後を考えるいい機会になったと自分に言い聞かせ、今回のレポートは終了したいと思います。

次の大型大会の予定は10月に行われるGP名古屋。成り行きで今回同行した2人とチームを組むことになったので今度こそは初日抜けを目標に頑張りたいですね。負けまくってもなんだかんだGPは楽しい!

それではまた次回のGPで。(ブログを書くかは分かりません!)